Den Jomfru gik i Valmu-Vang Op.50-5 Danske viser og sange |
娘がケシ畑を歩いた デンマークの詩と歌 |
Den Jomfru gik i Valmu- Vang saa rød,saa rød var Vangen! Hun lyttede til Fuglesang, saa sød,saa sød var Sangen! Og Præsten skreg: Ak Jomfru-lil, fly fluks de røde Vange! Du dør ifald du lytter til de søde Fuglesange! Den Jomfru lo: Hvem tændte da de røde Valmu-Vange? Og hvor er de vel kommen fra, de søde Fuglesange? |
娘がケシ畑を歩いた とても真っ赤、とても真っ赤な花畑だった! 娘は鳥の歌を聞いた とても優しい、とても優しい歌だった! お坊さんが出てきて叫んだ「娘よ この真っ赤な野原から立ち去りなさい! 死んでしまうぞよ 鳥の甘い歌声など聞いていては」と 娘は笑って言った「誰が火を付けたの この真っ赤なケシ畑は? いったいどこからやってくるの この優しい鳥の声は?」 |
シンディンクはグリークの後を継いだノルウェーの代表的作曲家のひとりと言って良いと思いますが、ピアノ曲「春のささやき」くらいしか今や知られていないかも知れません。そんな彼の歌曲集をクラシックの文庫本とも言えるNaxosレーベルが、まだブルックナーの交響曲の全曲もリリースしていなかった頃に出したのは凄いというか嬉しいというか...
作品番号を見る限りでも、彼は生涯に渡って歌曲を書き続けたようで、初期の作品などはケラーやハイネなどのドイツ語の詩に付けた、ドイツロマン派の作品です。でもやはり魅力的なのは中期に入ってから、民謡の鄙びた風情が曲に反映されるようになってからだと思います。
この曲はその中でも特に素朴そのもので、あのグリークの「ノルウエー舞曲」に聞かれるような踊りのリズム(2拍子が時々カクンと崩れる北欧の民族音楽に特有のアレです)に乗ってやさしく歌われます。
このシンディンクの歌曲集を歌うソプラノのアネセン、同じNaxosでグリークのこれまた味わい深い歌曲集を出していますね。
この勢いでノルウエーの素晴らしい歌曲をどんどん紹介して欲しいものです。
( 2000.08.25 藤井宏行 )