雪くる前 抒情小曲集 |
|
ひとすぢに逢ひたさの迫りて 酢のごとく烈しきもの 胸ふかく走りすぐるときなり。 雪来ると呼ばはるこゑす はやも白くはなりし屋根の上 |
|
前の曲に引き続きこれも詩集「青き魚を釣る人」より。これもふつふつと滾る恋の歌です。思いが募ったあまりの胸の痛みを「酢のごとく激しきもの」と言い切る表現と、そして静かに積もる屋根の雪との対比が鮮烈です。この歌曲集、雪を小道具にした詩をたくさん集めており、それぞれが魅力的な音楽となっていますが、この曲も例外なく見事な雪の描写が印象的です。
( 2014.10.24 藤井宏行 )