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朱の小箱    
  抒情小曲集
 
    

詩: 室生犀星 (Murou Saisei,1889-1962) 日本
    青き魚を釣る人 (1923)  朱の小箱

曲: 清水脩 (Shimizu Osamu,1911-1986) 日本   歌詞言語: 日本語


君がかはゆげなる卓(つくゑ)のうへなる
いろも朱なる小箱には
なにをひそめたまへるものなりや
われきみが窗(まど)べをすぎむとするとき
小箱まづ目にうつり
こころおどりてやまず
そは、やはらかきりぼんのたぐひか
もしくば
うらわかき娘ごころをのべたまふ
やさしかるうたのたぐひか。



これは「抒情小曲集」からではなく、1923年出版の詩集「青き魚を釣る人」より。微笑ましい恋の歌です。彼女の持っているものに惹かれずにはいられない少年の恋心。女の子の持ち物も90年前にも関わらず今でもありそうなものばかりですね。
言葉づかいが古めかしくなければ、今の乙女たちにももっと響く詩ではないでしょうか。清水のつけたメロディも、NHKの「みんなのうた」にでもしっくりくるような耳になじむもの、この詩の魅力を最大限に引き出しています。最後のおどけたユーモアもとても素敵です。

( 2014.10.24 藤井宏行 )


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