Zigeunerlied Op.25-5 Sechs deutsche Lieder |
ジプシーの歌 6つのドイツの歌 |
Im Nebelgeriesel,im tiefen Schnee, Im wilden Wald,in der Winternacht, Ich hörte der Wölfe Hungergeheul, Ich hörte der Eulen Geschrei, Wille wau wau wau! Wille wo wo wo! Wito hu! Ich schoß einmal eine Katz' am Zaun, Der Anne,der Hex' ihre schwarze Katz'; Da kamen des Nachts sieben Wehrwölf' zu mir, Es waren sieben Weiber vom Dorf. Wille wau wau wau! Wille wo wo wo! Wito hu! Ich kannte sie all',ich kannte sie wohl Die Anne,die Ursel,die Käth', Die Liese,die Barbe,die Ev',die Beth'; Sie heulten im Kreise mich an. Wille wau wau wau! Wille wo wo wo! Wito hu! Da nannt' ich sie alle beim Namen laut: Was willst du Anne? was willst du Beth? Sie rüttelten sich,sie schüttelten sich Und liefen heulend davon. Wille wau wau wau! Wille wo wo wo! Wito hu! |
霧の中でも 深い雪でも 荒れた森でも 冬の夜 飢えたオオカミの唸り声が聞こえる フクロウたちの鳴き声も ウィリ、ワウ、ワウ、ワウ! ウィリ、ウォ、ウォ、ウォ! ウィト、フ この前ネコを撃った 垣根の前で アン 魔女の黒猫だ 7匹のオオカミがその夜やってきた その昔、村の女たちだったオオカミが ウィリ、ワウ、ワウ、ワウ! ウィリ、ウォ、ウォ、ウォ! ウィト、フ 私はその女達を知っている アン、ウルセル、ケート リーゼ、バルベ、イブとベスだ 彼女達は私を取り囲んでうなっている ウィリ、ワウ、ワウ、ワウ! ウィリ、ウォ、ウォ、ウォ! ウィト、フ 私は彼女達の名を呼んでやった 「何がしたいんだ?アン 何がしたいんだ?ベス」 彼女達はぶるぶる震え 唸りながら去っていく ウィリ、ワウ、ワウ、ワウ! ウィリ、ウォ、ウォ、ウォ! ウィト、フ |
ブゾーニのところでちょっとだけご紹介したゲーテの詩ですが、ドイツの大先輩シュポアも曲を付けていましたのでこちらをご紹介します。ブゾーニのがもはや人知を超えた怪奇の世界に浸り込んでしまっているのに対して、古典派時代の大物シュポアの作品は詩の怪しさとは無関係に上品に、格調高く歌い上げられます。
この曲の収録されているOp.25には、ファウストのグレートヒェンの歌もあるのですが、シューベルトがド演歌の恨み節にしたのに比べると、シュポアはモーツアルトのオペラ「魔笛」のパミーナのアリアのような抒情的な曲にしています。それと同様、この歌も上品な短調のワルツになっていて最後のオオカミの遠吠えも控えめです。
詩はどういう意図で書かれたものか分からないのですが (ゲーテ詩集の邦訳文庫本にも全く取り上げられていませんし。まあ当然かも...)、こんな怪しげな詩を歌曲にしようというのは、シュポアは結構新し物好きだったのかも知れません。
私の手持ちのこの曲のCDは2点、PrimaVeraレーベルのフォン・デン・エインデン(Sop)のものと、Marco Polo のパターソン(Sop)のものです。前者は演技過剰で面白く聴かせてくれますがちょっとやり過ぎかも。でも意外と最後の ワウ、ワウ、ワウの遠吠えは控え目です。逆にパターソンは張りのある声できちんと歌いますが、遠吠えのところが非常にこの真面目なアプローチとミスマッチで笑えます。 どちらを聴かれても構いませんが、ぜひブゾーニのと聴き比べてみてください。
時代がどんどん病んできているのが実感できる?かも知れません。
( 2000.05.20 藤井宏行 )