Ushas (Dawn) Op.24-1 Vedic Hymns |
ウシャス(夜明け) ヴェーダの詠唱 |
Behold the Dawn,the fairest of all visions, Day's glory now appears. Arise! For the night hath fled! Arise and greet the Dawn. Welcome her! Unveiled she now appeareth, All things greet her radiant smile. Borne by wingèd horse and car She steals across the sky. Child of heav'n arrayed in shining garments, Blushing maiden draw thou near: Sovran lady of earth and sky, We hail thee as our queen. Heav'n's breath awakeneth creation, The sky is all aflame, Th'eastern Portals open wide. The Sun draws nigh. Greeting thee,the holy fire ascendeth, Greeting thee,our hymns arise, Greeting thee,the Sun appeareth, Greeting thee,thy worshippers Bow down and bless and adore. |
見よ 夜明けを、すべての光景のうちで最も美しい 日の栄光が 今現れたのだ 起きよ!夜は逃げ去ったのだから! 起きて迎えよ 夜明けを 歓迎するのだ!ヴェールを脱いで今現れてくる すべてのものはその晴れやかな笑顔を迎え入れる 翼を持った馬と車に乗って 夜明けは空を横切って突き進む 天の子は輝く衣服を着て整列し 顔を赤らめた乙女がそなたのそばにある 大地と空との高貴な女性よ われらはそなたを 女王として歓迎しよう 天の吐息は創造を目覚めさせ 空は真っ赤に燃えている 東の門口は大きく開く 太陽が近付いてくる 挨拶しよう そなたに 聖なる火が立ち昇る 挨拶しよう そなたに われらの賛歌が湧き起こる 挨拶しよう そなたに 太陽が現れる 挨拶しよう そなたに そなたの崇拝者たちは ひれ伏して祝福し 崇め奉るのだ |
グスタフ・ホルストの異色な歌曲集「ヴェーダの詠唱」は9曲からなり、独学でサンスクリット語を学んでいた作曲者自身がインドの聖典「リグ・ヴェーダ」より英語に訳したものをテキストに使っています。1907〜8年の作曲で3曲ずつ3つのグループに分かれるように構成されているようですが、特に各曲の間に連関があるようには感じられず、典型的なイギリス歌曲が9曲集まっているといった感じです。
このサイトが立ち上げ間もないころに1曲だけ(第5曲 ヴァルナII)取り上げてあとは15年近く放置しておりましたが、面白い詩ですし、イギリス歌曲としてもなかなか魅力的な逸品ですので、作曲者生誕140年にして没後80周年の今年、全曲の訳の完成に向けて努力したいと思います。
かつてCollinsレーベルから出ていたホルストの歌曲集、現在はNaxosに移ってリリースされておりますが、そこでモルトマンのバリトンで全曲、すばらしい演奏で聴くことができます。
第1曲目は夜明け。ウシャスというのはインド神話における暁の女神なのだそうです。静かに淡々とつぶやき始められる賛歌は、やがてきらめくような朝日の輝きに満たされます。夜明けの描写として実に見事な音楽
( 2014.10.20 藤井宏行 )