Vykhozhu odin ja na dorogu |
ぼくは一人で歩いて行く この道の上を |
Vykhozhu odin ja na dorogu; Skvoz’ tuman kremnistyj put’ blestit; Noch’ tikha. Pustynja vnemlet Bogu, I zvezda s zvezdoju govorit. V nebesakh torzhestvenno i chudno! Spit zemlja v sijan’i golubom... Chto zhe mne tak bol’no i tak trudno? Zhu l’ chego? zhaleju li o chem? Uzh ne zhdu ot zhizni nichego ja, I ne zhal’ mne proshlogo nichut’; Ja ishchu svobody i pokoja! Ja b khotel zabyt’sja i zasnut’! No ne tem kholodnym snom mogily... Ja b zhelal naveki tak zasnut’, Chtob v grudi dremali zhizni sily, Chtob dysha vzdymalas’ tikho grud’; Chtob vsju noch’,ves’ den’ moj slukh leleja, Pro ljubov’ mne sladkij golos pel, Nado mnoj chtob vechno zeleneja Temnyj dub sklonjalsja i shumel. |
ぼくは一人で歩いて行く この道の上を 霧の中で 石ころだらけの道はきらめいている 静かな夜だ 荒野は神に耳傾け そして星は星と語り合う 天上は 厳粛で不思議だ! 大地は眠っている 青い輝きの中... 何がぼくを こんなにも痛めつけ 苦しめるのか? 何を待っているのか? 何を悔いているのか? もう何も望んではいないのだ この人生からは 何も悔いてはいない 過去にあったことには ぼくは平和と自由を探しているんだ! ぼくはすべてを忘れて眠りたい! だけどそれは 冷たい墓の眠りではない... ぼくはずっとこんな眠りを求めてきたんだ 胸には生きる力がまどろみ 静かに息をしながら 胸を膨らませてくれる眠りを そして夜も昼の間も 耳にささやいてくれる 愛のことをぼくに 甘い歌声で ぼくの上では 永遠に緑の 暗いカシの木が揺らぎ ざわめくときに |
これもクラシック歌曲というよりはロシアの懐メロと言った方が適切でしょうか。作曲者もレールモントフと同じ19世紀の人ですから本当に古い作品です。クラーい旋律のロシア民謡のお好きな方にはきっと気に入って頂ける曲ではないかと思います。作曲した女性は恐ろしく長命の人で、レールモントフの生まれる9年前に生まれ、そして20世紀初めまで98年も生きています。彼女はイタリアで音楽を学び、若い頃はオペラ歌手として活躍していたのだそうですが、声が出なくなってからは彼女の妹と共にシンガーソングライターとして暮らしたといいます。ご紹介したこの詩につけた曲は1861年の作曲だと言いますから彼女が60歳を過ぎての作品になりますね。他にもいくつかレールモントフの詩につけた曲はあるようですがこの曲が飛び抜けて有名です。
詩はレールモントフ死の年1841年の作品。死への憧れをさりげなく暗い夜道を歩きながらつぶやいています。ロシア風演歌には確かに打ってつけの詩とも言えましょう。
( 2014.10.11 藤井宏行 )