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Angel   Op.15-6  
  Shest’ khorov
天使  
     6つの合唱曲

詩: レールモントフ (Mikhail Yur'yevich Lermontov,1814-1841) ロシア
      Ангел (1831)

曲: ラフマニノフ (Sergei Rachmaninov,1873-1943) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Po nebu polunochi angel letel,
i tikhuju pesnju on pel;
i mesjats,i zvezdy,i tuchi tolpoj
vnimali toj pesne svjatoj.

On pel o blazhenstve bezgreshnykh dukhov
pod kushchami rajskikh sadov,
o Boge velikom on pel,i khval
a ego nepritvorna byla.

On dushu mladuju v ob”jatijakh nes
dlja mira pechali i slez;
i zvuk ego pesni v dushe molodoj
ostalsja bez slov,no zhivoj.

I dolgo na svete tomilas’ ona,
zhelaniem chudnym polna,
i zvukov nebes zamenit’ ne mogli
ej skuchnye pesni zemli.

真夜中の空に天使が飛んでいた
そして安らかな歌を歌っていた
月も、星たちも、雲の群れも
その聖なる歌を聞いていた

天使は穢れなき精霊の至福を歌っていた
天国の庭の木陰に憩う精霊の
偉大な神のことを天使は歌い、讃えた
その歌に欠けたるところはなかった

天使は若い魂を抱いて運んだ
悲しみと涙に満ちた世界のため
天使の歌の調べは若い魂の中へ
言葉なくして残った、生き続けた

それからずっと魂はこの世で苦しんだのだ
不思議な望みに胸ふさがれて
天の調べに何物も置き換わることはできなかった
地上の退屈な歌たちはみな


レールモントフの詩の中でも特に傑作の誉れ高いもの。詩人がわずか17歳のときに書いたものなのだそうです。理想の世界への憧れと、そしてこの世への絶望と(まだ若いのに)が見事な対比を見せています。リムスキー=コルサコフにはこの詩に付けた歌曲があって(「真夜中の空にOp.40-2」)こちらも感動的でしたが、ラフマニノフの書いたメロディも控え目ながら実に美しいものです。特に女声合唱にすることでやさしく柔らかい響きがこの詩の味わいと良くマッチしてひたすらに見事。その意味では児童合唱の方がよりぴったりくるでしょうか。
Russian Conpact DiscというレーベルにあるAll-Union Radio and Television Grand Children Choirの歌唱がロシア語の響きがビンビン伝わってくるとても印象深いものでした。残念ながらこの合唱曲集からは3曲目の「松」とこの曲の2曲しか取り上げられておりませんけれど。

( 2014.10.02 藤井宏行 )


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