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Romanç de Santa Llúcia    
 
サンタ・ルシアのロマンス  
    

詩: サガーラ (Josep Maria de Sagarra i de Castellarnau,1894-1961) スペイン
      

曲: トルドラ (Eduard Toldra,1895-1962) スペイン   歌詞言語: カタロニア語


Perquè avui és Santa Llúcia
dia del any gloriós,
pels vols de la Plaça Nova
rondava amb la meva amor.

Anem tots dos a la fira,
amiga anem-hi de jorn,
que una mica de muntanya
alegri nostra tristor.
Comprarem grapats da molça
i una enramada d'arboç,
i una blanca molinera
i una ovella i un pastor.
Ho posarem a migdia
dins el nostre menjador
i abans de seure a la taula
ens ho mirarem tots dos
que una mica de muntanya
ens faci'l menjar més dolç.

Perquè avui es Santa Llúcia
dia del any gloriós
tals paraules m'acudien
quan he vist la meva amor.

今日はサンタ・ルシアの日
大切なお祝いの日だから
新しい広場を
ぼくは恋人と一緒に歩いた

二人で市場に行こうよ
愛しい人 行こうよ 昼間に
山のような買い物が
元気づけてくれるのさ ぼくらの沈んだ気持ちを
買おうよ コケを一掴み
それとイチゴノキの小枝
それから白い女の子と
羊と 羊飼いの人形
それをお昼に並べてみよう
ぼくらの食堂の中に
そしてテーブルに座る前に
ふたりで眺めてみよう
山のような買い物が
ぼくらの食事をおいしくしてくれる

今日はサンタ・ルシアの日
大切なお祝いの日だから
こんな言葉が思わず口から出た
ぼくが恋人を見かけた時に


12/8からクリスマスイブまでの約2週間、スペインはカタロニアの中心都市バルセロナではサンタルシア寺院の周りに市が立ち、クリスマス用の飾りを売るサンタ・ルシアの祭が行われます。このサンタ・ルシア(聖女ルシア)の日は12/13とされている地域も多く、キリスト教の世界ではクリスマス前の大切なお祭りとして祝われているようです。
歌はそんな市場の賑わいの中恋人を見かけ二人で過ごすこれからの楽しい季節を夢見る若者。この夢が果たして実現するかどうかは定かではありませんが、私がこの歌を聴いて連想したのは山下達郎の「きっと君はこない、ひとりきりのクリスマスイブ...」
洋の東西を問わず恋とはこんなもんですね。

カタロニアはフランスにも近く、スペインでも独特の文化風習を持つ地域として、作曲家でもアルベニス、グラナドス、モンポウといった、情熱の国スペインというステレオタイプとは全く違う詩情溢れる作風の人達を輩出しているところです。
そういったカタロニアの作曲家の中でも重要な歌曲作曲家としてはこのエドアルド・トルドラを挙げなければなりません。
フォーレのようなフランス歌曲にも通じる繊細な響きに美しいメロディを乗せて、一曲一曲がとても素敵です。
日本ではほとんど知られていない作曲家ですが、カレーラスやカバリエ、ロス・アンヘレスといったスペインの名歌手たちがこの人の歌曲をこぞって取り上げており、かの地ではかなり重要な作曲家であることがうかがわれます。
これらの歌手の競演で聴き比べるのもまた良いのですが、たいていの場合彼の曲は管弦楽伴奏で歌われますので、少々歌の柄が大きくなり過ぎるような嫌いがあります。
むしろグラナドスやモンポウのピアノ曲のようなひそやかな味わいを醸し出して素晴らしいのは、ソプラノのMuntadaがピアノ伴奏で入れたSpainのla ma de guidoレーベルのトルドラ歌曲集。カタロニアの美しい音楽を探しておられる方には見逃せないアルバムといえましょう。
(2003.12.08)

詩人の著作権が切れましたので、原詩と訳詞いずれもアップしました。

( 2016.06.04 藤井宏行 )


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