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Nochevala tuchka zolotaja   Op.13-2  
  Dva trekhgolosnykh zhenskikh khora
金色の雲は眠る  
     2つの3部女性合唱曲

詩: レールモントフ (Mikhail Yur'yevich Lermontov,1814-1841) ロシア
      Утёс (1841)

曲: リムスキー=コルサコフ (Nikolai Andreyevich Rimsky-Korsakov,1844-1908) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Nochevala tuchka zolotaja
Na grudi utesa-velikana;
Utrom v put’ ona umchalas’ rano,
Po lazuri veselo igraja.

No ostalsja vlazhnyj sled v morshchine
Starogo utesa. Odinoko
On stoit; zadumalsja gluboko,
I tikhon’ko plachet on v pustyne...

金色の雲は眠る
巨大な絶壁の胸の中で
朝にはまた動き出す
楽しげに自分の青さを揺らしながら

だが、皺の上をうるませて
年老いた絶壁はひとりぼっちで
そそり立ち、物思いに沈みながら
すすり泣くのだ 穏やかに砂漠の中で


レールモントフの詩にもリムスキー=コルサコフはけっこうな数の曲を付けていますが、これはその中でも最初のものになります。描かれている情景は詩人が赴任していたコーカサスの情景。なんとも雄大な景色です。ちなみにこの詩の冒頭の1節をタイトルとした映画”NOCHEVALA TUCHKA ZOLOTAJA”が1989年にチェチェンの分離戦争を舞台に作られています。
壮大な描写なのですが他方では何とも生々しい擬人化が図られているようで、何とも苦い後味もあります。
若い魅力的な女性に恋をした、もう老境にある男の哀しみといったところでしょうか。田山花袋の私小説「蒲団」を私は思わず連想してしまいました。

( 2014.09.22 藤井宏行 )


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