漁光曲 |
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詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください
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雲は漂う 海と空の中 魚は隠れてる 水の中に 朝日で漁網を乾かし 吹いてくる海風を顔に受ける 潮が満ちて 波が砕け 漁船は行き交う 西に東に 網を撒き 綱を張る 煙霧の中を苦労して魚を追う 魚が取れなきゃ税は重い 漁民の暮らしは苦しくなるばかり 爺ちゃんの残した破れた漁網を 注意深く使ってひと冬を過ごす (著作権のため一部の大意訳に留めています) |
抗日戦争のさなか1941年に亡くなった作曲家任光の代表作とも言える曲。1934年の同名の映画の主題歌です。
映画は浙江省の貧しい漁民の暮らしを淡々と描き出したもののようで、映画の最後にこの歌が主演女優の王人美によって歌われるのだそうです。
歌詞の一部を訳して載せてみましたが(作詞の安娥の著作権がまだ生きておりますので一部の大意です。また原詞の掲載は行っておりません)、漁民の苦しさを切々と語っています。
音楽はそれほど暗くはありませんが、しみじみと哀調を帯びてなかなか魅力的なメロディ、現在でも中国では歌い継がれているようです。
先日亡くなった李香蘭こと山口淑子さんも回想の中でこの曲を好きな歌のひとつに挙げています。
ちょっと原詞の内容で日本では歌えないということでしょうか、昭和15年、島田磬也の詞で「青い月の夜に」という歌を李香蘭自身が吹き込んでいます。歌声は素晴らしいのですが、歌詞の内容が月夜を眺めての望郷の歌というちょっとぬるい内容に変わってしまっていてかなり残念です。
中国語に堪能な彼女のことです。原詩で歌った録音があればきっと素晴らしかっただろうな、と思うのですが、中国共産党とも関係の深かった作曲家の作品、たとえ戦後でも日本で取り上げるのは難しかったのだろうな、とも思います。
この李香蘭の「青い月の夜に」も、オリジナルの王人美の「漁光曲」もNetでは聴くことができました。
ぜひ味わい比べてみて頂ければと思います。
( 2014.09.14 藤井宏行 )