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Les deux pigeons.   CG. 373  
 
二羽のハト  
    

詩: ラ・フォンテーヌ (Jean de La Fontaine,1621-1695) フランス
    Fables  Les deux pigeons.

曲: グノー (Charles Gounod,1818-1893) フランス   歌詞言語: フランス語


Amants,heureux amants,voulez-vous voyager ?
Que ce soit aux rives prochaines ;
Soyez-vous l'un à l'autre un monde toujours beau,
Toujours divers,toujours nouveau ;
Tenez-vous lieu de tout,comptez pour rien le reste ;
J'ai quelquefois aimé ! je n'aurais pas alors
Contre le Louvre et ses trésors,
Contre le firmament et sa voûte céleste,
Changé les bois,changé les lieux
Honorés par les pas,éclairés par les yeux
De l'aimable et jeune Bergère
Pour qui,sous le fils de Cythère,
Je servis,engagé par mes premiers serments.
Hélas ! quand reviendront de semblables moments ?
Faut-il que tant d'objets si doux et si charmants
Me laissent vivre au gré de mon âme inquiète ?
Ah ! si mon cœur osait encor se renflammer !
Ne sentirai-je plus de charme qui m'arrête ?
Ai-je passé le temps d'aimer ?

恋人たちよ 幸せな恋人たちよ 旅をしたいかい?
ならば隣の岸辺までにするがいい
お前たちはお互いにいつでも新しい世界となるんだ
いつでも違っていて いつでも新しい
皆になり代わり 他の誰のことも考えることのない
私だって恋をしてきたさ! そのときには
ルーブルとその宝物を積まれても
空や天空に逆らってでも
森を代える この場所を代えるつもりはなかったのだ
その足取りで尊いものになり その瞳で輝かしいものとされたのだから
愛らしく若い羊飼いの娘の
シテールの息子のもとで
私は私の最初の誓いに縛られ 彼女に仕えたのだった
ああ!いつになったらあのような時が戻ってくるのだろう?
これほどに美しく魅力的なあまたのものの中で
私は生きねばならないのか この不安な魂のままで?
ああ!私の心にまだ燃え立つ情熱があったなら!
私にはもうこれ以上の魅力を感じることはできないのか?
私の愛の時は過ぎ去ったのか?


タイトルのハトはどこにも出てこない、恋する心を失ってしまった年齢からくる衰えを嘆く歌になっておりますが、実はこの歌詞、有名なあの「ラ・フォンテーヌの寓話集」から取られているのです。二羽の仲睦まじいハトたちの一方が、漂泊の旅に出たい思い止み難く、とうとう片割れを振り切って旅に出るのですが、苦難苦難の連続で最後はボロボロになって戻ってくる、というお話のあとで、この「旅に出るなら近場で済ますのが賢いですよ」というここでも取り上げられている歌詞に続くのです。
爽やかなメロディでこの格調高いフランス語の響きを美しく歌わせて、グノーの歌曲の中でも傑作のひとつと言われております。
EMIにあるフランスの名歌手ジェラール・スゼーの録音したグノー歌曲集ではこの曲がアルバムのタイトルにまでなっておりました。

( 2014.09.07 藤井宏行 )


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