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L'abandonnée    
  Seize Mélodies
棄てられた女  
     16のメロディ(未完の劇音楽から)

詩: マンデス (Catulle Mendès,1841-1909) フランス
      L'abandonnée

曲: ビゼー (Georges Bizet,1838-1875) フランス   歌詞言語: フランス語


D'autres femmes m'ont pris son regard,sa pensé!
Comme dans l'eau courante
Une image effacée,
Rien n'est resté de moi dans son rêve oublieux!
Si je frappe à sa porte,il dira,l'infidèle:
“Quelle est cette étrangère et pourquoi pleure-t-elle?”
Il n'aura reconnu ni mes pleurs ni mes yeux!

Mais je suivrai toujours celui qui m'abandonne;
Sa trahison n'est rien puisque je la pardonne;
S'il faut mourir par lui je bénis le tombeau.
Et s'il vole toujours à quelque amour nouvelle,
Je ne demande rien sinon que l'infidèle
M'ait oubliée assez pour m'aimer de nouveau!

別の女たちがあたしから奪ったの 彼の目を 彼の想いを!
まるで流れる水のように!
姿は消されてしまったわ
あたしには何も残されていない 彼の忘れっぽい夢の中には!
たとえあたしが彼のドアをノックしても 彼は言うでしょう あの不実な人は
「この見知らぬ女は誰だ どうして泣いているんだ?」と
彼は決して分かってくれないわ あたしの涙も あたしの眼差しも!

でもあたしは追いかけるの あたしを捨てたあの人を
彼の裏切りは許せるものではないけれど
もしも彼と一緒に死ねるのならば あたしにはお墓さえ祝福なの
それでももし 彼がまだ新しい恋に飛んで行くのなら
あたしは何も求めない その不実さの他は
あたしはすっかり忘れてしまったのだから あたしをまた愛してくれることなど!


これもビゼーの死後発見されたメロディの草稿にあとから詞がつけられたものです。穏やかで抒情的なメロディにしかし何というどろどろした詩がついたことでしょう。聴いていてもかなり違和感がありますが、歌詞のことなど気にせず、美しい音楽にひたすら浸る、というのがこの歌の正しい楽しみ方かも知れません。
Hyperion、Orfeoのいずれのビゼー歌曲集のCDにも収録されていますので、聴けるチャンスはかなり高いのではないかと思います。

( 2014.08.02 藤井宏行 )


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