Blagoslovljaju vas,lesa Op.47-5 7 Romansov |
森よ、私は祝福する(巡礼の歌) 7つのロマンス |
Blagoslovljaju vas,lesa,doliny,nivy,gory,vody, Blagoslovljaju ja svobodu i golubye nebesa! I posokh moj blagoslovljaju,i etu bednuju sumu, I step’ ot kraju i do kraju, i solntsa svet,i nochi t’mu, I odinokuju tropinku,po koej,nishij,ja idu, I v pole kazhduju bylinku, i v nebe kazhduju zvezdu! O,esli b mog vsju zhizn’ smeshat’ ja, Vsju dushu vmeste s vami slit’, O,esli b mog v moi ob”jat’ja ja vas,vragi,druz’ja,i brat’ja, I vsju prirodu v moi ob”jat’ja zakljuchit’! |
私はお前を祝福する。森よ、谷間よ、野原よ、山よ、泉よ 自由と、そしてこの青い空を祝福する! 私はお前を祝福する。巡礼の杖よ、そして粗末な荷袋よ この草原の端から端までを そして太陽の輝きと夜の闇を! 孤独の中、この世捨て人が歩く道を 野に茂る葉の一枚一枚を そして夜空に光る星のひとつひとつを! おお、私の人生のすべてをひとつにし、魂をお前たちと 溶け合わせることができたなら。 おお、我が腕でお前たちすべて 友や、兄弟や、そして敵までもを 抱きしめることができたなら! |
ギャウロフの遺したロシア歌曲の録音の中で、ダルゴムイシスキーとならんで特に素晴らしいのはチャイコフスキーの歌曲でしょう。彼の新旧ある録音の中でも共に多く取り上げられ、その流麗な旋律と浸りこむようなロシア情緒の微妙なバランスが見事です。
有名な「ただ憧れを知る人だけが」も絶妙な美しさですが、この曲は既に紹介されていますので、この曲同様新旧録音に共に収録されているもうひとつの名曲を取り上げましょう。
冒頭のピアノ序奏が重々しく、巡礼者のとぼとぼした足取りを描写する中、大地をたゆたうような美しいメロディの歌が立ち現れてきます。「おお、私の人生の」ところで激しく盛り上がり、世界の中心で愛を叫ぶフィナーレ、そしてピアノの後奏で最初のメロディが繰り返されるのは、遠ざかっていく巡礼者を描写しているのでしょうか。
チャイコフスキー円熟期の傑作としてそのしみじみとした味わいが素晴らしいこの作品はトルストイの詩です。
広い大自然の中に抱かれ、まわりのものすべてに深い愛情を注ぐ、そのおおらかさが朗々たるバスの声に乗って聴こえてくるのはとても素敵です。ギャウロフの歌では新盤の円熟も捨てがたいですが、チャイコフスキーの歌曲に関してはDecca盤の若々しい美声の方が合っているかも。
他の歌手ではドンファンのセレナーデのところでも挙げたネステレンコ(Melodya)、サヴェンコ(Hyperion)、ホロフトフスキー(Philips)といったところ。中ではサヴェンコのドラマティックな歌が違った魅力を醸し出しています。
異色なところではアメリカの往年の大アルト歌手マリアン・アンダーソンの録音があるとか。どんな歌唱だか聴いてみたいものです。
( 2004.07.19 藤井宏行 )