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Adieux à Suzon    
  Feuilles d'album
さよならシュゾン  
     アルバムの綴り

詩: ミュッセ (Louis Charles Alfred de Musset,1810-1857) フランス
    Poésies nouvelles  Adieux à Suzon

曲: ビゼー (Georges Bizet,1838-1875) フランス   歌詞言語: フランス語


Adieu Suzon,ma rose blonde,
Qui m'a aimée pendant huit jours;
Les plus courts plaisirs de ce monde
Souvent font les meilleurs amours.
Sais-je,au moment où je te quitte,
Où m'entraîne mon astre errant?
Je m'en vais pourtant,ma petite,
Bien loin,bien vite,
Toujours courant.

Je pars,et sur ta lèvre ardente
Brüle encor mon dernier baiser.
Entre mes bras,chère imprudente,
Ton beau front vient se reposer.
Sens-tu mon coeur,comme il palpite?
Le tien,comme il battait gaiement!
Je m'envais pourtant,ma petite,
Bien loin,bien vite,
Toujours t'aimant.

Paf! c'est mon cheval qu'on apprête.
Enfant,que ne puis-je en chemin
Emporter ta mauvaise tête,
Qui m'a tout embaumé la main!
Tu souris,petite hypocrite,
Comme la nymphe,en t'enfuyant.
Je m'en vais pourtant,ma petite,
Bien loin,bien vite,
Tout en riant.

Que de tristesse,et que de charmes,
Tendre enfant,dans tes doux adieux!
Tout m'enivre,jusqu'à tes larmes,
Lorsque ton coeur est dans tes yeux,
A vivre ton regard m'invite;
Il me consolerait mourant.
Je m'en vais pourtant,ma petite,
Bien loin,bien vite,
Tout en pleurant.

Que notre amour,si tu m'oublies,
Suzon,dure encore un moment;
Comme un bouquet de fleurs pâlies,
Cache-le dans ton sein charmant!
Adieu; le bonheur reste au gîte,
Le souvenir part avec moi:
Je l'emporterai,ma petite,
Bien loin,bien vite,
Toujours à toi!

さよならシュゾン、ぼくのブロンドのバラ
ぼくを8日間だけ愛した人よ
この世で一番短い喜びが
ときには最高の愛になるのさ
ぼくは知るだろうか、きみから去るときに
ぼくのさまよえる星がぼくをどこへと導くのかを?
それでもぼくは行くのさ、いとしい人よ
とても遠くへ、とてもすばやく、
ずっと駆けてゆく

ぼくはゆく、だけどきみの熱いくちびるが
まだ燃えているよ ぼくの最後のくちづけで
ぼくの腕は、愛しいお調子者よ
きみの美しい顔を憩わせたばかりだ
きみは感じるだろうか ぼくの心がどんなに高鳴っているのかを?
きみの心も、何と楽しげに鳴っていたか!
それでもぼくは行くのさ、いとしい人よ
とても遠くへ、とてもすばやく、
ずっと駆けてゆく

ふう!あれは準備のできてるぼくの馬だ
愛し子よ どうしてぼくはあの小道に
連れて行けないんだ きみの病んだ頭を
ぼくの手にこれほどの香りを与えてくれたのに!
きみはほほ笑む 小さな偽善者よ
まるで妖精のように きみは逃げ去る
それならぼくも行くのさ いとしいひとよ
とても遠くへ、とてもすばやく、
笑いながら

何という悲しみ 何という魅力
優しい子よ きみの甘いお別れの中にあるんだ
みなぼくを酔わせる きみの涙までが
きみの心がきみの瞳の中にあるんだから
きみの眼差しに引き寄せられて生きること
それはぼくを死へと誘惑することだ
だからぼくは行くのさ いとしい人よ
とても遠くへ、とてもすばやく、
涙を流しながら

ぼくたちの愛が もしもきみがぼくを忘れても
シュゾン もう少しだけ続くことを望むよ
色あせたひとつの花束のように
それを隠しておくれ きみの魅力的な胸の中に
さよなら 幸せはこの家にとどまり
思い出は去っていくんだ ぼくと一緒に
ぼくはそれを運んで行くよ ぼくのかわいい人
とても遠くへ、とてもすばやく、
いつまでも きみのために


ミュッセが30代のころにたまたま知り合った女性についていくつかの詩を書いていますが、これもそのひとつ。その女性と深い仲になったとかいうことはどうもなかったようですが、愛情あふれる詩をこのシュゾンへの呼び掛けとして書いています。ビゼーが曲をつけたこの詩は彼女との別れを歌っていますが、軽やかでからっとした明るさが不思議な味わいを醸し出しています。伸びやかで美しいメロディはとても印象的に耳に残ります。

( 2014.06.21 藤井宏行 )


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