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La folle de St Joseph    
 
聖ジョセフの狂女  
    

詩: キュスティーヌ (Astolphe,marquis de Custine,1790-1857) フランス
      

曲: マイアベーア (Giacomo Meyerbeer,1791-1864) ドイツ−イタリア   歌詞言語: フランス語


Mes pleurs,mouillez cette pierre,
Coulez,coulez,il viendra,
Et peut-être il se dira:
Elle était là,elle était là!
Ah! mes pleurs,lavez la poussière,
Ah! coulez,coulez sur la pierre,
Qu’il foulera,qu’il foulera,
Coulez! coulez! coulez!

Fleurs,tombez de ma couronne,
Tombez et sur le gazon,
Tracez le mot de pardon
Avec son nom,avec son nom.
Du cruel qui m’abandonne,
Partez,fleurs de ma couronne,
Vous serez mon dernier don...
Tombez! tombez! tombez!

Sur ce tertre solitaire
Il verra panteler la croix;
Moi dans la maison de bois
Froide et sans voix,froide et sans voix.
Si son pied foule ma terre
Je frémirai,je l’espère,
Mais pour la dernière fois!...
Je frémirai! je frémirai!

あたしの涙よ この石を濡らし
流れるの 流れるのよ あの人がやって来て
そしてたぶん こう言うでしょう
「あの子はここだ あの子はここだ!」って
ああ!あたしの涙よ 塵を洗って
ああ!流れるの 流れるのよ 石の上を
あの人がやってくる やってくるの
流れて 流れて 流れるのよ!

花たちよ あたしの花輪から落ちて
落ちるのよ 草の上に
許しを乞う言葉を追いかけるの
あの人の名前と一緒に 名前と一緒に
あたしを捨てたあの残酷な名前と
お別れよ あたしの花輪の花たちよ
あなたたちはあたしの最後の贈り物になるの
落ちて 落ちて 落ちるのよ!

この孤独な丘の上で
あの人はすすり泣く十字架を見るでしょう
あたしは 木の棺の中で
冷たく黙って 冷たく黙っているの
もしあの人の足があたしのお墓の上を踏むなら
あたしは震えるでしょう そう願っているわ
最後の瞬間に!
あたしは震える 震えるのよ!


またも異色な感じの歌曲です。ドニゼッティのオペラで描き出された狂乱のシーンのようにひたすら流麗で美しいメロディが歌詞とそぐわない感じはしなくもありませんが、ほのかに暗いレシタティーヴォ調の部分と、惚れ惚れするきれいな主部との対比が強い印象を残す歌曲です。詩を書いたアストルフ・ド・キュスティーヌ侯爵は外交官にして旅行記作家、彼のロシア訪問記は特に著名なのだそうです。

( 2014.05.23 藤井宏行 )


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