TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Erinnerung    
  Hölderlin Fragmente
記憶  
     ヘルダーリン断章

詩: ヘルダーリン (Johann Christian Friedrich Hölderlin,1770-1843) ドイツ
    Gedichte 1800-1804  Gesang des Deutschen

曲: アイスラー (Hanns Eisler,1898-1962) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


O heilig Herz der Völker,o Vaterland!
Allduldend,gleich der schweigenden Mutter Erd,
Und allverkannt,wenn schon aus deiner
Tiefe die Fremden ihr Bestes haben!

Sie ernten den Gedanken,den Geist von dir,
Sie pflücken gern die Traube,doch höhnen sie
Dich,ungestalte Rebe! daß du
Schwankend den Boden und wild umirrest.

Doch magst du manches Schöne nicht bergen mir,
Oft stand ich überschauend das holde Grün,
Den weiten Garten hoch in deinen
Lüften auf hellem Gebirg und sah dich.

Und an den Ufern sah ich die Städte blühn,
Die Edlen,wo der Fleiß in der Werkstatt schweigt,
Die Wissenschaft,wo deine Sonne
Milde dem Künstler zum Ernste leuchtet.

おお人々の聖なる心 おお祖国よ!
じっと耐え忍んでいる 沈黙した母なる大地のように
そして全く誤解されている お前の
深みより 異邦人はその最善のものを得ているのに!

彼らは得ているのだ 思想を 精神をお前から
ブドウの実を喜んで摘み取る だが彼らは嘲るのだ
お前を 締りのない蔓草だと! お前が
大地を這いまわり 激しく乱れていると

だがお前は数々の美しきものを私から隠そうとはしない
しばしば私は立った 見渡しながら 懐かしい緑の
広大な野を お前の
明るい山の上の大気の中 お前を眺めながら

そしてその岸辺に私は見た 町が栄えるのを
この気高き町が そこでは勤勉な者たちが仕事場で黙々と働き
その知も栄える お前の太陽が
穏やかに芸術家たちを真摯さに向けて照らすのだ


愛国的な詩を最後に持ってきました。原詩はGesang des Deutschen(ドイツ人たちの歌声)というものです。ナチスに追われてアメリカに亡命していたアイスラーがこのような愛国的な詩を選んだのも不思議な感じがしますが、逆にそのような政治的におかしくなっていなければこうして国を愛していられたのに、という思いの発露ということなのかも知れません。
Erinnerung(記憶)というタイトルをつけたのも、そう考えてみると頷けます。

( 2014.05.10 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ