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Fåfäng önskan   Op.61-7  
  8 Laulut
むなしい願い  
     8つの歌

詩: ルーネベリ (Johan Ludvig Runeberg,1804-1877) フィンランド
    Lyriska dikter I  87 Fåfäng önskan

曲: シベリウス (Jan Sibelius,1865-1957) フィンランド   歌詞言語: スウェーデン語


Otaliga vågor vandra
På hafvets glänsande ban.
O,vore jag bland de andra
En bölja i ocean,
Så liknöjd djupt i mitt sinne,
Så sorglöst kylig och klar,
Så utan ett enda minne
Från flydda sällare dar!

Dock,skulle en våg jag vara,
Den samme jag vore väl då.
Här går jag ju bland en skara
Af svala vågor också.
De skämta med fröjd och med smärta,
På lek de tåras och le,
Blott jag har mitt brinnande hjerta:
O,vore jag utan som de!

無数の波がさまよう
海の輝く道の上を
おお もし私が他の波の合間の
大海原のひとつの波だったなら
この心の奥底には無関心で
悩みなく さわやかに澄んで
ただひとつの記憶さえない
はるか昔の幸せな日々の

けれど もしも私がその波だったとしても
きっと同じであったことだろう
ここで私は群衆に従って行く
冷たい波たちも同じことだろう
彼らは戯れている 喜びや痛みと
ゲームの中で涙し ほほえむのだ
私だけが この燃える心を持っている
おお そんなものを持たなかったなら 彼らのように!


荒波を表す激しいピアノの響きに乗せて、いかにもシベリウスらしい堂々とした息の長いメロディが歌われます。ルネベルイの詩は相変わらず哲学的ですが、人ごみの中の孤独が、海の轟きの中の魂の孤独とオーバーラップして不思議な音空間を紡ぎ出しています。これもシベリウスの知られざる傑作のひとつではないでしょうか。

( 2014.04.13 藤井宏行 )


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