UbeÜber die Grenzen des All blicktest du sinnend hinaus Op.4-3 Funf Orchesterlieder nach Ansichtskartentexten von Peter Altenberg |
きみは宇宙の果てを瞑想し アルテンベルク歌曲集 |
Über die Grenzen des All blicktest du sinnend hinaus; Hattest nie Sorge um Hof und Haus! Leben und Traum vom Leben,plötzlich ist alles aus - - -. Über die Grenzen des All bliekst du noch sinnend hinaus! |
きみは宇宙の果てを瞑想し、その彼方を眺む。 家や雑事に悩ませることはない! この世に生きることも、そしてその夢も、すべて突然意味を失ったーーー きみは今なお宇宙の果てを瞑想し、その彼方を眺む。 |
昔から宇宙に興味があった。といっても星を眺める天体観測ではない。はじめは漠然と宇宙を思い、その後に好奇心が働いて、アインシュタインからホーキングに到るまでの「理屈」の宇宙を探索していた。
だが、どんなに頭を巡らしところで、あの夜空の彼方の深淵はどんな「理屈」をも凌駕してしまう奥深い何かがある。
誰もが一度は思うような宇宙の広大さ、あるいは宇宙の果てといった想像もつかないある種の孤独感や漠たる不安。
例えばそんな思いは、この曲の出だしのクラスター的な音響が見事に語っている。言葉が紡ぐ意味以上のものをこの響きは我々に語りかける。そして厳しく切りつめて響きわたる管楽器、弦のピッチカートは宇宙の孤独感を更に募らせる。
だが最も恐るべきは、「すべて突然意味を失った」でのまさに「突然」の語りの混入、そしてそれも全くの音階の存在しない無伴奏。それはまさに真空の冷え冷えとした宇宙空間そのものであるのだ。
そして歌はその耐え兼ねることのできない空間を突き抜けんと、絶叫にも近い10度の跳躍の音をもって終わる。
まさに宇宙の深淵を見るようなおそるべし歌だ。
かつて日本で開催されたブーレーズ・フェスティヴァルでのブーレーズ&ノーマンの実演はさすがに名演だった。
ブーレーズの繊細な伴奏とノーマンの存在感のある歌は文句無し。この組み合わせはCDでも聞けるがこちらも名盤(SRCR9791)。
ほかにはアバド指揮のマーガレット・プライスによるものもうまい(POCG9066〜9075)
( 1998.09.01 丸田和彦 )