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Rachel à Nephtali    
 
ラケルとナフタリ  
    

詩: デシャン (Émile Deschamps,1791-1871) フランス
      

曲: マイアベーア (Giacomo Meyerbeer,1791-1864) ドイツ−イタリア   歌詞言語: フランス語


Quoi,Nephtali,quoi,tu m’aimais?
Ta bouche enfin trahit ta flamme.
Ah! tu devais m’ouvrir ton âme,
Un an plus tôt,ou bien jamais.
Ton frère,hélas! tu vois sa femme,
Il a ma main et j’ai son coeur.
Pitié,pitié,je suis ta soeur.

Sous les palmiers non loin de Tyre
Pourquoi m’as-tu sauvé la vie?
Je n’irais point d’effroi suivie
Entre ses bras rougir,mentir.
J’aurais sans crainte au ciel ravie,
Crié ton nom vers le Seigneur,
Malheur,malheur,hélas,je suis ta soeur.

Le Dieu jaloux a l’oeil sur toi,
C’est au Dieu fort à nous défendre,
Il veut lui seul se faire entendre,
Cache tes pleurs,c’est trop,épargne-moi!
Tes yeux si doux,ta voix si tendre,
O Nephtali,tout me fait peur,
Va-t-en,va-t-en,je suis ta soeur.

何と ナフタリよ 何と あなたは私を愛しているの?
あなたの唇は最後はあなたの情熱を裏切るの
ああ!あなたが自分の心を私に明かしてくれていたなら
一年前に でなければ決して
あなたの兄上の ああ!妻をあなたは見ているのです
彼は私を妻として 私は彼の心を得ているの
やめて やめて 私はあなたの義姉なのですよ!

テュルスのそばのヤシの木の下で
どうしてあなたは私の命を救ったのですか?
私は動けませんでした その後の恐怖のため
彼の腕の中で 赤くなり 嘘をつき
私は恐れることもなく 天上の喜びの中で
叫んだのです あなたの名を 主に向かって
ひどい ひどい 私はあなたの義姉なのですよ!

嫉妬深い神さまはその目をあなたに投げかけるのです
それは全能の神さまです 私たちに禁じられたのは
お望みなのです あなたが神さまのことだけを聞くことを
あなたの涙を隠してください あんまりなのです 私を助けて!
あなたの瞳はとても甘い あなたの声はとても優しい
おお ナフタリよ あなたは私を怯えさせるのです
行って 行って 私はあなたの義姉なのですよ!


「聖書のロマンス Romance biblique」という副題がついており、旧約聖書・創世記に出てくるヤコブの妻ラケルと、その義理の息子(自分の女奴隷に生ませたとあります)ナフタリのことを歌っています。不倫の関係になるのに自分に迫ってくるナフタリを優しく諭すラケル、といったところでしょうか。ただ聖書とは違って歌では彼女はナフタリの兄弟の妻ということになっていますね。従って詩人の全くの創作といったところでしょうか。聖書を調べたわけではありませんがこんなお話はなかったようですので。
音楽は詩が切迫感のあるにも関わらず何とも流麗なほのぼのとしたものでかなり違和感がありますが、ベルリーニなんかが書く音楽もこんな感じで歌詞とは関係なく美しいメロディの洪水にひたすら身を浸すという快感はなかなか捨てがたいものがあります。

( 2014.04.06 藤井宏行 )


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