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Das Schifflein   Op.99-4  
  6 Gesänge
小舟  
     6つの歌 

詩: ウーラント (Johann Ludwig Uhland,1787-1862) ドイツ
    Balladen und Romanzen  Das Schifflein

曲: メンデルスゾーン (Jakob Ludwig Felix Mendelssohn,1809-1847) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Ein Schifflein ziehet leise
Den Strom hin seine Gleise.
Es schweigen,die drin wandern,
Denn keiner kennt den andern.

Was zieht hier aus dem Felle
Der braune Waidgeselle?
Ein Horn,das sanft erschallet:
Das Ufer widerhallet.

Von seinem Wanderstabe
Schraubt jener Stift und Habe,
Und mischt mit Flötentönen
Sich in des Hornes Dröhnen.

Das Mädchen saß so blöde,
Als fehlt' ihr gar die Rede,
Jetzt stimmt sie mit Gesange
Zu Horn- und Flötenklange.

Die Ruder auch sich regen
Mit taktgemäßen Schlägen.
Das Schiff hinunter flieget,
Von Melodie gewieget.

Hart stößt es auf am Strande,
Man trennt sich in die Lande:
»Wann treffen wir uns,Brüder?
Auf einem Schifflein wieder?«

一艘の小さな舟が 静かに進み行く
水の流れがその行く道だ
黙っている 舟の中で旅行く人々は
誰もがお互いを知らないようだ

何を彼の皮のコートから取り出したのだろう
あの茶色の狩人は?
角笛だ それは静かに鳴り響き
遠く岸辺まで音は届いてくる

すると 旅の杖から
ひとりの乗船客が自分の荷をほどき
彼のフルートの音色と溶け合わせたのだ
その角笛の轟きと

女の子は それまでとても恥ずかしそうに座っていたが
まるで一言もしゃべれないかのように
今、彼女は歌声で合わせている
角笛とのフルートの音色に

そしてまた舵も鳴っている
調子を合わせたリズムで
舟は流れを進んで行く
メロディーに揺られながら

激しく舟は岸辺に着き
みんな陸に上がる
「いつまた会えるだろうか 兄弟よ?
この小舟の上でもう一度? 」


大自然の中でほのぼのと暖かい人々の交流の情景。歌も舟歌のゆったりとしたリズムに乗せて、角笛の響きを模したピアノの伴奏と溶け合いながら爽やかな歌声が流れて行きます。少々インパクトに欠けるきらいもなくはありませんが、この澄んだ美しさはメンデルスゾーンの美質です。

( 2014.03.29 藤井宏行 )


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