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Rayons des yeux   FP 147  
  La fraîcheur et le feu
目からの光  
     新鮮さと火 

詩: エリュアール (Paul Éluard,1895-1952) フランス
    Le Livre ouvert (1938-40)  Rayons des yeux

曲: プーランク (Francis Poulenc,1899-1963) フランス   歌詞言語: フランス語


Rayons des yeux et des soleils
Des ramures et des fontaines
Lumière du sol et du ciel
De l'homme et de l'oublie de l'homme
Un nuage couvre le sol
Un nuage couvre le ciel
Soudain la lumière m'oublie
La mort seule demeure entière
Je suis une ombre je ne vois plus
Le soleil jaune le soleil rouge
Le soleil blanc le ciel changeant
Je ne sais plus
La place du bonheur vivant
Au bord de l'ombre sans ciel ni terre.

いくつもの目からの そして太陽たちの光
枝からの そして泉からの
大地の そして空の光
人の そして人の忘却からの
雲は大地を覆い
雲は空を覆う
突然 光は私を忘れ
死だけがそっくり残っている
私は影だ もう自分では見ることのできない
黄色い太陽も 赤い太陽も
白い太陽も うつろう空も
私はもはや知らない
生きる幸福のある場所を
空も大地もない影のまわりの


1950年作曲のエリュアールの詩による7曲からなる歌曲集、いかにもプーランクらしい洒落た流麗なメロディが美しい作品です。詩は「ひらかれた本(1938-1940)」の中の「まなざしが生を与える」という題のついた7篇の詩をそのままの順序で曲をつけています。インスピレーションにあった詩をつまみ食いのように選んでメロディをつけることの多い彼にしては珍しい選択と言えるでしょうか。もっとも7篇の詩に一貫したテーマというのはないようですけれども。全体としては光と影との織りなす視覚的なイメージが強い印象を与えてくれます。
いきなり鮮烈な第一曲、前半のめくるめく色彩感がやがて闇に閉ざされてゆく様子を激しくもやるせない叫びとしています。詩の冒頭の太陽が複数なのが印象的で、それらが黄色・赤・白と色とりどりなのが(詩の中盤に記されています)非常に不思議な感覚です。

( 2014.03.01 藤井宏行 )


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