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Le ricordanze    
 
思い出  
    

詩: ロッシ (Gaetano Rossi,1774-1855) イタリア
      

曲: マイアベーア (Giacomo Meyerbeer,1791-1864) ドイツ−イタリア   歌詞言語: イタリア語


Son questi i cari platani,
Quest’è l’amico rio
Ma tristi ne son l’aure,
N’è mesto il mormorio,
E par cangiato inanime
Tutto d’intorno a me.
Ah! lui che adoro,oh Dio,
Lui,qui più non è,
No,no,no,no,qui più non è.

Qual gioia allor confondere
Sospiri ardor desiri,
Sentire al suo rispondere
Di chi s’adora il cor,
Momenti di contenti
A me presenti ognor...
Torna o speranza a illudermi,
Di’ che verranno ancor...
Di’! di’! che verranno ancor

あれは愛しのプラタナス
あれは親しき小川の流れ
けれど悲しげにそよ風は吹き
寂しげにつぶやいているのです
命をなくしてしまったかのよう
私の周りのすべてのものが
ああ!私の愛するお方 おお神様
あのお方はここにはおられないの
だめ だめ だめ ここにはおられない

どんな喜びとあのときは取り違えていたのでしょう
ため息を 熱情を 渇望を
お返事を聞こうとしたときには
私が心から愛するあの人の
幸せな瞬間は
ずっと私のもとにあるはずだったのに
戻ってきて おお希望よ 惑わしておくれ
再び戻ってくると言って
言って 言って 戻ってくるのだと


40曲あまりあるマイアーベーアの歌曲作品の中でも、イタリア語の詩につけた歌曲はオペラティックな味わいがなかなか引き立っていてとても耳に心地よいです。ベルリーニやロッシーニのサロン歌曲に比べても決して引けを取らない作品ばかりと思うのですが、取り上げられる機会は圧倒的に少ないのがたいへんに惜しいところ。そんなイタリア語の歌曲集では最近聴いたシヴァン・ローテムのソプラノにジョナサン・ザークのピアノ伴奏によるNaxos盤のCDが結構聴きごたえのある良い録音でしたので、これから順番にこのCDに収録されている曲の歌詞をご紹介していこうと思います。
最初に持って来ているこの曲、多くのイタリアのサロン歌曲同様、詩の内容に関係なくひたすら美しいメロディをこれでもか、これでもかと聴かせるスタイルの典型的な曲で、この失恋の歌が何とも甘美な、とろけるようなメロディで彩られております。その意味では歌詞などどうでも良くて、この美しいメロディに浸っていさえすれば良いのかも知れません。

( 2014.01.13 藤井宏行 )


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