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Harpen   Op.9-1  
  Romancer og Ballader af A. Munch
ハープ  
     アンドレアス・ムンクによるロマンスとバラード

詩: ムンク (Andreas Munch,1811-1884) ノルウェー
    Sorg og Trøst - Haab  Harpen (1852)

曲: グリーグ (Edvard Grieg,1843-1907) ノルウェー   歌詞言語: ノルウェー語


Et Sagn nu mig drages til Minde:
En Dame ved Harpen sad,
De hvide Fingre lod rinde
Igjennem Strengenes Rad.
De svulmende Toner hun bøied'
Sammen til Enhedsklang,
Og kunstrigt dem slynged' og føied'
Til sin bevægede Sang.

Den trofaste Ridder stille
Ved hendes Fødder laae,
Og hørte Tonerne trille
Og kunde dem bedst forstaae.
De klaged',de jubled' jo alle
Om Kjærligheds Sorg og Lyst,
Han følte dem sammenfalde
Dybt i sit eget Bryst.

Det var i Afskedsstunden
De sade tilsammen saa:
Naar Morgenen var oprunden
Han maatte i Langfærd gaae.
“Og hør,Du Hjertenskjære!
Mit Ord Du mærke nu paa:
Jeg veed,at min Sjæl maa være
Hvor Du monne Harpen slaae.

ひとつの伝説を私は覚えている
ひとりの女性がハープを手に座り
その白い指は滑っていた
張られた弦の間を
彼女の響かせる音は
集まってひとつの調べとなり
芸術の力がそこに加えられて
心動かす歌となったのだ

誠を誓う騎士は黙って
彼女の足元に横たわり
流れ出る調べを聴いていた
彼には調べの意味がよく分かるのだ
調べは嘆き、そして歓喜するのだ すべての
愛の喜びと悲しみを
彼はそのすべてを感じ取る
深い胸の底から

今は別れの時
ふたりは一緒に座っている
朝焼けがやってくれば
彼は長い旅へと行かねばならぬ
「さあ聴くのだ、汝わが愛しき人よ
 わが言葉をしっかりと心に刻みつけよ
 われには分かる、わが魂はいつも
 汝がハープをつまびくところにあるであろう」


デンマーク語の「君を愛す」ほかのアンデルセンの詩にメロディをつけたグリーグは、作品9でノルウェーの詩人 アンドレアス・ムンクの詩集「悲しみと慰め」からの4つの詩に付けた歌曲集を書きました。デンマーク語とノルウェー語の差異がほとんどないのであまり意味はないといえばないのですが、グリーグの書いた初めてのノルウェー語歌曲ということになりましょうか。
どの曲もたいへん視覚的な詩にロマンティックなメロディをつけていて聴いていても深く印象に残る歌曲集です。

第1曲目はゆったりとしたテンポで深々と歌われるおとぎ話のワンシーン、原詩は12節からなる長いものですが、たいていはそのうち初めの3節だけが歌われますので、そこのみを取り上げて訳しました。有節歌曲ですので12節全部をこのメロディに乗せて歌うことは可能ですが、初めの3節だけでも息が長いメロディのおかげで5分近く演奏にかかりますから、もし12節全部を歌ったならば歌い終わるまでにたいへんな時間を要することでしょう。
ここに取り上げた3節あとの詩の展開ですが、ノルウェー語なのでうまく意味が取れているかどうか自信がないのですが、離ればなれになった二人は二度と会うことはなく、あるときハープをつま弾いた女は、その響きから男が死んだことを感じ取り、そしてそのあとを追う、といったお話です。
竪琴をつま弾くような伴奏に乗って懐かしい歌の響きがゆったりと広がって行きます。

( 2013.11.04 藤井宏行 )


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