Sonetto XXXII Op.22-6 Seven Sonnets of Michelangelo |
ソネット第32番 ミケランジェロの7つのソネット |
S'un casto amor,s'una pietà superna, S'una fortuna infra dua amanti equale, S'un'aspra sorte all'un dell'altro cale, S'un spirto,s'un voler duo cor governa; S'un'anima in duo corpi è fatta etterna, Ambo levando al cielo e con pari ale; S'amor c'un colpo e d'un dorato strale Le viscer di duo petti arda e discerna; S'amar l'un l'altro,e nessun se medesmo, D'un gusto e d'un diletto,a tal mercede, C'a un fin voglia l'uno e l'altro porre; Se mille e mille non sarien centesmo A tal nodo d'amore,a tanta fede; E sol l'isdegno il può rompere e sciorre. |
もしも愛が貞淑なものならば もしも慈悲が天上のものならば 幸運が二人の恋人をひとつに結び付けるものならば もしも苦い運命も互いに共有されるものならば ひとつの精神が ふたつの心を支配するものならば もしもひとつの心が ふたつの肉体を永遠なものとするならば 共に天に昇るなら ひとつの翼で もしも愛が 黄金の矢で撃ち抜かれて ふたりの胸を熱く燃やすなら もしもお互いを自分自身よりも愛するのなら 喜びで 愛で 報い合って ただ一つの目的に互いが向かっているのなら 何千何万のこともささいなことに過ぎない この愛の絆が 信頼に満ちているのなら 怒りがそれを砕き 断ち切ることなどあろうか |
かなり気恥しくなるような愛の賛美です。この曲が「盟友」・ピーター・ピアーズのために書かれたことを思うとなかなか気恥しいものを聴いていても感じてしまいます。鮮烈で弾けるような伴奏に絶叫するような激しい叫びで答えるテノール、この歌曲集の中でも指折りのインパクトのある歌になりました。高音のテナーが歌うと実に映えます。
( 2013.10.27 藤井宏行 )