SonettoLV Op.22-4 Seven Sonnets of Michelangelo |
ソネット第55番 ミケランジェロの7つのソネット |
Tu sa,ch'io so,signor mie,che tu sai Ch'i veni per goderti più da presso; E sai ch'i' so,che tu sa' c'i' son desso: A che più indugio a salutarci omai? Se vera è la speranza che mi dai, Se vero è 'l buon desio che m'è concesso, Rompasi il mur fra l'uno e l'altro messo; Chè doppia forza hann' i celati guai. S'i' amo sol di te,signor mie caro, Quel che di te più ami,non ti sdegni; Che l'un dell'altro spirto s'innamora, Quel che nel tuo bel volto bramo e 'mparo, E mal compres' è degli umani ingegni, Chi 'l vuol veder,convien che prima mora. |
御身は私が知っているのをご存じだ 主よ 御身が御存じだということを 私が御身をより密接に楽しもうとやって来ていることも そして私が知っていることもご存じだ 私がそんな人間だと御身がご存じであることを ならばなぜ そこで挨拶するのをためらうのだ? もし真実のものならば 御身が私に下さった希望が もし真実のものならば 私に許された良き願望が お互いの間の壁が壊れてくれれば良いのだが 隠された不幸は二倍の力を持つのだから もしも御身だけを愛しているなら 御身 愛しきお方よ 私が御身を最も愛していることを軽蔑しないで欲しい ひとつの心は 別の心と恋に落ちるのだから 御身の美しい顔に私が探し求めるのは 人間には理解するのが難しいものだ それを見たいと望む者は まず死なねばならない |
このソネットは難解で、正直私には何を言っているのかまだ掴み切れておりません。ここでいう相手「あなた」が生身の人間なのかそれとも神さまなのかも(生身の人のような感じはしますが)どうも判然としないので、「御身」という訳語を当ててみました。9行目にSinorとあるので男性ですね。愛は愛でも性愛の関係ではないようですがはてさて...
あなたは私が「あなたが知っている」ということを知っていることをご存じだという何層にも及ぶ入れ子の構造要はお互いが良く分かり合っている深い関係にある、にも関わらずうまく行かない...
音楽の方はおどけたピアノに乗せてリズミカルにささやく告白。どことなくユーモラスな味わいが面白いです。後半は一瞬しみじみと述懐しますが最後にまたぼそっと呟くところがユニークです。
( 2013.10.13 藤井宏行 )