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Erster Schmerz,letzter Scherz    
  Die schöne Müllerin
最初の痛み 最後の冗談  
     美しき水車小屋の娘

詩: ミュラー,ヴィルヘルム (Johann Ludwig Wilhelm Müller,1794-1827) ドイツ
    Die schöne Müllerin 18 Erster Schmerz,letzter Scherz

曲: シューベルト (Franz Peter Schubert,1797-1828) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Nun sitz' am Bache nieder
Mit deinem hellen Rohr,
Und blas' den lieben Kindern
Die schönen Lieder vor.

Die Lust ist ja verrauschet,
Das Leid hat immer Zeit:
Nun singe neue Lieder
Von alter Seligkeit.

Noch blühn die alten Blumen,
Noch rauscht der alte Bach,
Es scheint die liebe Sonne
Noch wie am ersten Tag.

Die Fensterscheiben glänzen
Im klaren Morgenschein,
Und hinter den Fensterscheiben
Da sitzt die Liebste mein.

Ein Jäger,ein grüner Jäger,
Der liegt in ihrem Arm --
Ei,Bach,wie lustig du rauschest!
Ei,Sonne,wie scheinst du so warm!

Ich will einen Strauß dir pflücken,
Herzliebste,von buntem Klee,
Den sollst du mir stellen an's Fenster,
Damit ich den Jäger nicht seh'.

Ich will mit Rosenblättern
Den Mühlensteg bestreun:
Der Steg hat mich getragen
Zu dir,Herzliebste mein!

Und wenn der stolze Jäger
Ein Blättchen mir zertritt,
Dann stürz',o Steg,zusammen
Und nimm den Grünen mit!

Und trag' ihn auf dem Rücken
In's Meer,mit gutem Wind,
Nach einer fernen Insel,
Wo keine Mädchen sind.

Herzliebste,das Vergessen,
Es kommt dir ja nicht schwer --
Willst du den Müller wieder?
Vergißt dich nimmermehr.

今 小川のそばに座っている
お前の明るい葦と一緒に
そしてかわいい子供たちに吹いて聴かせるのだ
美しい歌のかずかずを

喜びは そう 消え去って
悲しみは いつまでも続く
さあ 歌え 新しい歌を
昔の幸せの歌を

なおも咲いている 昔のままの花たち
なおもせせらぐ 昔のままの小川
優しい太陽も輝いている
なおも あの初めての日のように

あの窓ガラスがきらめいている
清らかな朝の光を浴びて
そしてガラス窓の向こうには
ぼくの愛しいひとが座っている

狩人が 緑の狩人が
あの子の腕の中にいる
おい 小川よ 何で楽しげにお前はせせらぐ!
おい 太陽よ 何で暖かくお前は輝いている!

ぼくはひとつ 花束を君に贈りたい
愛しいひと 色とりどりのクローバーで
それを君はぼくのために窓辺に置いてくれないか
ぼくにあの狩人が見えないように

ぼくはバラの花びらを
この水車小屋の橋に敷き詰めたい
この橋はぼくを運んでくれるのだ
君のもとへ ぼくの心から愛する君の

そしてもしもあの傲慢な狩人が
花びら一枚でも踏んづけたなら
その時は割れてしまえ 橋よ まっぷたつに
そしてあの緑の野郎も道連れだ!

あいつを運んで行け 仰向けにして
海へと 追い風に乗せて
はるか遠くの島に向かって
ひとりも女の子がいない島まで

愛しいひとよ 忘れること
それは君には難しくないだろう
君はこの粉挽きを取り戻すつもりはないかい?
君を決して忘れない粉挽きを


シューベルトが省略したミュラーの原詩のひとつがこれです。「最後の冗談」とありますようにまだおちゃらける余裕が詩の最後の方には現れています。また幸せだった頃の輝きが詩の中に織り込まれて、何とも暖かい表情を見せておりますが、失恋の歌としてはこの明るさは何ともつらさを感じさせます。一気に不幸のどん底に沈んでいくためにはこの振り返りは不要ということでシューベルトは省いたのでしょうか(前の詩とかなり内容がかぶっているというのもハンデでしょうか)。これも彼がメロディを付けたらどんな歌になっていただろうかと興味を大変惹かれるところです。

( 2013.08.30 藤井宏行 )


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