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Welcome Maids of Honou   Op.44-6  
  Spring Symphony
ようこそ 誉れの乙女たちよ  
     春の交響曲

詩: へリック (Robert Herrick,1591-1674) イギリス
      To violets

曲: ブリテン (Edward Benjamin Britten,1913-1976) イギリス   歌詞言語: 英語


Welcome Maids of Honour,
You doe bring
In the Spring;
And wait upon her.

She has Virgins many,
Fresh and faire;
Yet you are
More sweet than any.

Y’are the Maiden Posies,
And so grac’d,
To be plac’d,
‘Fore Damask Roses.

Yet though thus respected,
By and by
Ye doe lie,
Poore Girles,neglected.

ようこそ 誉れの乙女たちよ
お前たちはやってくる
この春に;
そしてこの春に尽くすのだ

春はたくさんの乙女たちを連れている
若々しくて美しい者たちを
それでもなおお前たちは
その誰よりも愛らしい

お前たちは乙女の花束なのだ
そしてその優美さゆえに、
高く称賛されるのだ、
ダマスクのバラたちよりも

だがしかし こうして敬意を払われても
次第に そして次第に
お前たちはきっと
哀れな乙女たちよ、忘れ去られるのだ


第2部は交響曲でいうところの緩徐楽章に当たるでしょうか。一癖も二癖もある詩が3篇 いずれも独唱によって歌われます。
最初の詩は17世紀の詩人ロバート・へリックのもの。このサイトでも英語のことわざになっているほどの有名な詩「バラのつぼみは集められる時に集めよ」を取り上げてご紹介したことがありますが、ここでブリテンが取り上げた詩もどこか若い少女たちに対する意地悪な目線を感じます。
ここで詩人が言っている乙女たちとは春に咲く花のようにも読めますし、華やいだ春に着飾って表に出てくる人間の少女たちのようにも読めます。おどけた木管楽器のイントロに続いてアルトののびのびとした独唱で歌われます。最後のちょっと悲しいオチも優しく、ほのかにユーモアを湛えて静かに終わります。

( 2013.04.14 藤井宏行 )


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