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Var det en dröm ?   Op.37-4  
  5 Laulut
あれは夢だったのか?  
     5つの歌

詩: ヴェクセル (Josef Julius Wecksell,1838-1907) フィンランド
      Var det en dröm ?

曲: シベリウス (Jan Sibelius,1865-1957) フィンランド   歌詞言語: スウェーデン語


Var det en dröm,att ljuvt en gång
jag var ditt hjärtas vän?
Jag minns det som en tystnad sång,
då strängen darrar än.

Jag minns en törnros av dig skänkt,
en blick så blyg och öm;
jag minns en avskedstår,som blänkt.
Var allt,var allt en dröm?

En dröm lik sippans liv så kort
uti en vårgrön ängd,
vars fägring hastigt vissnar bort
för nya blommors mängd.

Men mången natt jag hör en röst
vid bittra tårars ström:
göm djupt dess minne i ditt bröst,
det var din bästa dröm!

あれは夢だったのか、過ぎ去った幸せな昔
僕が君の心を掴んでいたのは?
僕は思い出す、今は聴こえない歌が
その調べを鳴り響かせているのを。

僕は思い出す、君がくれたバラの花を
恥ずかしそうに、優しげな様子で
僕は思い出す、別れの涙を、そのきらめきを
みんな、みんな夢だったのか?

はかない命のアネモネみたいな夢
春先の緑の野原に咲いても
その美しさはすぐに褪せてしまう
たくさんの花が咲くのを待つことなく

でも幾夜となく僕には聞こえてくる
苦い涙を流している君の声が
胸の奥深くしまってお置き、その想い出は
それは君の最も素晴らしい夢だったのだから!


シベリウスの歌曲からリヒャルト・シュトラウスを超える濃厚なロマンをもう1曲...
こちらは熱情が爆発しているだけにインパクトは相当強いです。
この強烈な「熱さ」を表現してくれるのはやはりニコライ・ゲッダ、彼のライブ録音(Arkadia)ではピアノ伴奏ですがとても熱い歌です。
管弦楽伴奏ではマーラーやシベリウスで独自の世界を築いている怪人指揮者セーゲルスタムのパックを得たフィンランドの名バリトン、ヨルマ・ヒュンニネンのシベリウス歌曲集が録音の良さもあって素晴らしいです(Ondine)。この曲はオペラ歌手が熱烈に歌った方が映えるつくりと言えなくもないので、オーケストラ伴奏で熱くやった方が数段魅力的かも知れません。楚々とした声が魅力の北欧歌曲の中で、シベリウスの歌曲のスタイルはちょっと異質かも?

女声でもよく歌われる曲ですが、このパッションはやはり男のもののような感じがするので(詩が未練たらたらのところなども)、男の立場で訳してみました。

( 2004.05.11 藤井宏行 )


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