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The Merry Cuckoo   Op.44-2  
  Spring Symphony
陽気なカッコウ  
     春の交響曲

詩: スペンサー (Edmund Spenser,1552-1599) イングランド
      

曲: ブリテン (Edward Benjamin Britten,1913-1976) イギリス   歌詞言語: 英語


The merry cuckoo, messenger of spring,
His trumpet shrill hath thrice already sounded;
That warns all lovers wait upon their king,
Who now is coming forth with garlands crowned:

With noise whereof the quire of birds resounded
Their anthems sweet devised of love’s praise,
That all the woods their echoes back rebounded.
As if they knew the meaning of their lays.

But ’mongst them all, which did love’s honour raise,
No word was heard of her that most it ought,
But she his precept proudly disobeys,:
And doth his idle message set at nought.

Therefore O love, unless she turn to thee
Ere cuckoo end, let her a rebel be.

陽気なカッコウ 春のメッセンジャー
そのトランペットの響きをもう三度も鳴らした
響きは告げる すべての恋人たちに王の到来を待つようにと
王はもう現れている 花の冠をつけて

鳥たちのコーラスの歌声と共に響くのは
愛を讃える甘い調べの讃歌
それは森中をこだまして響き渡る
まるでこだまがその輝きの意味を知っているかのように

だがそれらすべての中に 愛の栄誉をたたえる歌声の中に
一言も彼女のことは聞こえない 最も歌われるべき彼女のことが
だが彼女は 彼の指示などには断固として従わぬ
それで彼のむなしいメッセージは何にもならぬのだ

だからおお愛よ 彼女がお前に向いてくれぬのなら
カッコウが歌い終える前に 彼女を反逆者のままにしておくがいい


歌詞にもはっきりと書かれておりますから別に不思議ではないのですが、カッコウの鳴き声をトランペットで表現するというのはかなり斬新な響きです。このトランペットとテノールのソロの掛け合いで歌われる第2曲に取り上げられた詩は16世紀に活躍した詩人エドモンド・スペンサーのもの。スペンサー風ソネットで良く知られた人ですが、ここで取り上げられた詩もソネットです。華やかな春に皆が愛を待ち望んでいるのに、恋する彼女は自分の愛に答えてはくれない、最後は投げやりな捨て台詞のように詩は終わっています。

( 2013.03.30 藤井宏行 )


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