Shine out,fair Sun Op.44-1 Spring Symphony |
輝き出でよ 美しき太陽よ 春の交響曲 |
Shine out,fair Sun,with all your heat, Show all your thousand-coloured light! Black Winter freezes to his seat; The grey wolf howls,he does so bite; Crookt age on three knees creeps the street;. The boneless fish close quaking lies. And eats for cold his aching feet;. The stars in icicles arise;. Shine out,and make this winter night. Our beauty's spring,our Prince of Light |
輝き出でよ 美しき太陽よ その暖かさと共に お前の千の彩りの光を見せてくれ! 黒い冬はその座に凍りついている 灰色のオオカミが唸る はげしく噛みつく 背の曲がった年寄りが三本足で通りを這いまわり 骨のない魚は近くで震えつつ横たわり 寒さで痛む自分の足を食べている 星たちはつららの中を昇る 輝き出でよ そしてこの冬の夜を われらの美しき春にしてくれ われらが光のプリンスよ |
指揮者セルゲイ・クーセヴィツキィ、ボストン交響楽団に委嘱を受けて書かれた、ベンジャミン・ブリテンの代表的な声楽作品のひとつです。交響曲と名はついていますが実質的にはカンタータのような作品で、主として15〜18世紀にかけてのイギリスの春にちなんだ詩を集め、管弦楽伴奏に三人のソリストと少年合唱を含む合唱を次々と織りなしていくものです。初演はなぜかボストンではなく、しかも7月(夏!)のオランダ、1949年のオランダ音楽祭でエドゥアルド・ヴァン・ベイヌム指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団・合唱団に、ヨー・ヴィンセント、カスリーン・フェリアー、ジャン・ピアースの3人のソリストで行われました(このライブ録音はCDにもなっています-Decca) クーセヴィツキ―/ボストン響によるアメリカ初演はそれから5週間あとのタングルウッド音楽祭でのことでした。
冒頭の曲は混声合唱によって歌われる、冬の厳しさから春を待ち望む歌。16世紀の作者不詳の詩から取られています。とても陰鬱な響きの中から「Shine Out(輝き出でよ)」という切実な叫びが聞こえてきます。
( 2013.03.30 藤井宏行 )