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Du strenger Richter droben    
  Gurrelieder Teil 3
御身 天におわします厳格なる裁き主よ  
     グレの歌 第3部

詩: アルノルト (Robert Franz Arnold,1872-1938) ドイツ
      Nu lér du deroppe 原詩: Jens Peter Jacobsen ヤコブセン,Gurresange 8-3

曲: シェーンベルク,アルノルト (Arnold Schonberg,1874-1951) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


WALDEMAR
Du strenger Richter droben,
Du lachst meiner Schmerzen,
Doch dereinst,beim Auferstehn des Gebeins
Nimm es dir wohl zu Herzen:
Ich und Tove,wir sind eins.
So zerreiss auch unsre Seele nie,
Zur Hölle mich,zum Himmel sie,
Denn sonst gewinn ich Macht,
Zertrümmre deiner Engel Wacht
Und sprenge mit meiner wilden Jagd
Ins Himmelreich ein.

WALDEMARS MANNEN
Der Hahn erhebt den Kopf zur Kraht,
Hat den Tag schon im Schnabel,
Und von unsern Schwertern trieft
Rostgerötet der Morgentau.
Die Zeit ist um!
Mit offnem Munde ruft das Grab,
Und die Erde saugt das lichtscheue Rätsel ein.
Versinket! Versinket!
Das Leben kommt mit Macht und Glanz,
Mit Taten und pochenden Herzen,
Und wir sind des Todes,
Der Sorge und des Todes,
Des Schmerzes und des Todes.
Ins Grab! Ins Grab! Zur träumeschwanger'n Ruh.
O,könnten in Frieden wir schlafen!

【ヴァルデマル王】
御身 天におわします厳格なる裁き主よ
御身はわが苦しみを笑っておられる
だがいつの日か 復活の日がくる時のため
このことだけはしっかり心にお留め願いたいのだ
トーヴェと私は ひとつのもの
われら二人の魂は分かつことは出来ぬ
わが魂を地獄へ 彼女の魂を天国などと
かようなことがあれば 私は力を振り絞り
御身の天使たちの警護を打ち破って
わが荒々しい狩の手勢とともに攻め込もうぞ
御身の天の王国へと

【ヴァルデマルの家来たち】
雄鶏が鬨を告げようと頭を上げる
暁はもうそのくちばしのところに来ている
われらの剣よりもしたたり落ちる
朝露が赤さびのような色をして
時は過ぎ去った!
大きな口を開けて墓が呼んでいる
大地は光を嫌う謎を飲み込んで行く
沈み行け! 沈み行け!
生命がやってくる 力と輝きを伴って
行動と脈打つ胸と共に
われらは死のうちにある
悲しみつつ死して
苦しみつつ死せる
墓へと! 墓へと! 夢あふれる安らぎの中へと
おお 安らかにわれらは眠りたいものだ!


この長大な作品にあって、ヴァルデマル王はこれが最後の登場となります。まだ神に対する怒りはおさまっていないようですが、一頃の荒々しさは影をひそめて、ゆったりと息の長いモノローグとなっています。それを受けて家来たちの合唱も朝を迎えてこれから墓の中で安らげる安堵感のようなものが感じられます。非常に弱い歌声で始まりますが、途中から力強さを増してきて、そしてまた墓の中で眠りにつくように静かに終わります。
この合唱の中に出てくる「Zeit ist um」という言葉は、第1部でトーヴェと愛の会話を交わしていたヴァルデマル王が真夜中に先に死んだ者たちの言葉として言及していたものがそのまま用いられています。因果は巡ると申しましょうか、なかなか凝った作りになっています。

( 2013.02.24 藤井宏行 )


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