Demanten på marssnön Op.36-6 6 Laulut |
3月の雪の上のダイヤモンド 6つの歌 |
På drivans snö där glimmar en diamant så klar. Ej fanns en tår,en pärla, som högre skimrat har. Utav en hemlig längtan hon blänker himmelskt så: hon blickar emot solen, där skön den ses uppgå. Vid foten av dess stråle tillbedjande hon står och kysser den i kärlek och smälter i en tår. O,sköna lott att älska det högsta livet ter, att stråla i dess solblick och dö,när skönst den ler! |
吹き溜まりの雪の上できらめいている 一つのダイヤモンドが清らかだ。 どんな涙も、真珠も これほど見事に輝いたことはなかった。 密やかな憧れをもって とても素敵な輝きを放っている。 彼女は太陽に眼差しを向け そこで登ってゆく美しい陽光とまみえる。 太陽の光線の足下に 彼女は祈るように立っている。 そして愛をこめて口づけをし 涙となって溶けてゆく。 おお、愛の運命の美しいこと 愛は至高の生命を与える。 太陽の光の中で輝き、 そして、太陽が一番美しく微笑むときに死ぬとは。 |
北欧ならではの情感が溢れる詩である。真っ白な雪、青い空、淡い光、輝く水の粒
等々、どれもこれも北国ならではの美しい光景に溢れている。ヴェクセルは若くして
精神障害で倒れた詩人だが、冬の終わりに自らのはかない生命を予言したのだろう
か。シベリウスはこの詩にシンプルだが、味わい深い、また憧れに満ちた曲をつけ
た。ピアノ伴奏の最初の1音からして、まさにきらりと光るダイヤモンドのような透
明な世界へと誘う。シベリウスの歌曲の中で私はこれが一番すきだ。ピアノ伴奏の他
に管弦楽伴奏もあるが、清楚な情感を伝えるにはピアノ伴奏がふさわしいと思う。演
奏だが、曲調からいって男声よりも女性にあった曲だと思う。これまでフォン・オッ
ター&フォシュベリ(BIS)の深々とした歌が一番いいと思っていたが、つい最近改め
て聞き直したM.ホロパイネン(舘野泉夫人)&舘野泉(East World)の素朴な歌いぶ
りがむしろこの曲の楚々とした美しさにぴったり合って好ましく思えた。
( 1998.08.22 小林幸也 )