Gekämpft hat meine Barke Op.104-7 Sieben Lieder von Elisabeth Kulmann |
わたしの小舟は戦ってきました エリーザベト・クールマンの詩による7つのリート |
Gekämpft hat meine Barke Mit der erzürnten Flut. Ich seh' des Himmels Marke, Es sinkt des Meeres Wut. Ich kann dich nicht vermeiden, O Tod nicht meiner Wahl! Das Ende meiner Leiden Beginnt der Mutter Qual. O Mutterherz,dich drücke Dein Schmerz nicht allzu sehr! Nur wenig Augenblicke Trennt uns des Todes Meer. Dort angelangt,entweiche Ich nimmer mehr dem Strand, Seh' stets nach dir und reiche Der Landenden die Hand. |
わたしの小舟は戦ってきました 荒れ狂う大波と わたしは天国のしるしを見ます それは海の怒りを鎮めるのです わたしはあなたから逃れることはできません おお死よ わたしが選べぬものよ! わたしの苦しみは終わり 母の嘆きが始まる おお母の心よ、あなたは その痛みを抑えることはないの! ほんの一瞬なのに 死の海が私たちを別れさすのは あの世についたなら、もう離れない わたしはそこの岸辺から いつでもあなたを見ていて 差し伸べるの この岸に上がるときにはこの手を |
Wohl kurz vor ihrem Ende gedichtet. Ihr baldiger Tod scheint ihr gewiss; nur der Gedanke an die zurückbleibende Mutter macht ihr Schmerz,den tiefsten.
おそらく死を前にして書かれた詩である。まもなく来る死は彼女には確実のように思えた。残される母への思いだけが彼女を苦しめる とても深く。
最後の曲はすべてを達観したかのように穏やかで優しいです。母との死別を前にしても悲しみを乗り越え、この世にひとり残される母親の心を慰める、神々しささえ感じさせるなかなか味わいのある詩は、シューマンの付けた音楽によって一層魅力的に表現されているように思います。
エピローグ部分も取り上げてみます。Hyperionのシューマン歌曲全集ではこの歌曲集を歌っているバンゼがこれも朗読していました。
Sie starb,bis zu ihren letzten Minuten schaffend und dichtend den 19. November 1825 im 17” Jahre. Zu den Gedichten der letzten Zeit gehört auch jenes merkwürdige “Traumgesicht nach meinem Tode” in dem sie selbst ihren Tod beschreibt. Es ist vielleicht eines der erhabensten Meisterstücke der Poesie. So schied sie von uns,leicht wie ein Engel,der von einem Ufer zum andern übersetzt. aber in weithinleuchtenden Zügen die Spuren einer himmlischen Erscheinung zurücklassend.
彼女は死んだ その最後の瞬間まで詩の創作にふけりながら 1825年11月19日に17歳で。最後の時に書かれた詩の中にはあの奇妙な「私が死んだあとのことの夢想」があり、その中で彼女は自分の死のことを描写している。それはおそらく詩の最も崇高な傑作のひとつであろう。こうして彼女は私たちと別れて、天使のように軽やかにこの世から彼岸へと去って行った。だがその輝き続ける軌跡の中に天国の痕跡を残して行ったのだった。
( 2012.11.19 藤井宏行 )