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うた    
 
 
    

詩: 佐藤信 (Satou Makoto,-) 日本
      

曲: 林光 (Hayashi Hikaru,1931-2012) 日本   歌詞言語: 日本語


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください


うかつにも今年1月に亡くなった林光の訃報をつい最近まで知らずにおりました。オペラシアター「こんにゃく座」を主宰し、日本の創作オペラの世界で大活躍をされた氏ですが、歌曲の分野でも多くの心に残る作品を書いてこられました。お高くとまったニュアンスのある「歌曲」という言葉を嫌い、「ソング」という名でそれらは呼ばれることが多かったですが、確かにポピュラーソングとの繋がりを感じさせるそれらの耳に心地よい歌たちは確かに「ソング」と呼ばれるのにふさわしいものでした。
さてそんな中から1曲取り上げて氏への追悼としようと思います。1982年、当時民主化運動のさなかにあったポーランドの自主管理労働組合「連帯」を支援するための「ポーランド緊急支援コンサート」のために書かれ、演奏された曲です。力強いワルツに乗って、「うたはどこで覚えた」のフレーズに乗せて、どこかで聴いたことのあるようなフレーズが次々と巧妙に織りこまれて行くのです。「ぼうやの子守りはどこへいった」と子守歌の世界で、「なじかは知らねど 心わびて」と学校の授業で、「だから だからもう恋なんてしたくない(黒い花びら 作詞:永六輔 1959年の歌謡曲)」と失恋のシーンで、そして「とりでの上にわれらの世界 きずき固めよ勇ましく(鹿地亘作詞 ワルシャワ労働歌)」と自由を求める戦いにおいて、歌は歌われ、そして心に残されて行くのでした。
最後の引用がまさに連帯し、支援しようとしているポーランドの民衆たちの革命歌というのはなかなかに凝った作りではあります。
メロディはなぜかハチャトゥリアンの劇音楽「仮面舞踏会」のワルツにそっくりで、ほの暗い響きが印象的。一発で覚えられてしまえそうです。

( 2012.09.22 藤井宏行 )


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