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Chanson de Clown   Op.28-1  
  Trois Chansons de Shakespeare
道化の歌  
     3つのシェイクスピアの歌

詩: ブショール (Maurice Bouchor,1855-1929) フランス
      Come away,death 原詩: William Shakespeare シェイクスピア,Twelfth Night (十二夜)

曲: ショーソン (Amédée-Ernest Chausson,1855-1899) フランス   歌詞言語: フランス語


Fuis,mon âme,fuis! Je meurs sous les traits
De la plus cruelle des vierges.
Viens,ô mort! Qu'on m'étende à la lueur des cierges
Dans un cercueil de noir cyprès.
Qu'on m'ensevelisse loin d'elle
Dans le blême linceul couvert de branches d'if,
Qui,partageant mon sort,ami sûr mais tardif,
Du moins me restera fidèle.

Que pas une fleur,une pauvre fleur
Sur ma tombe ne soit semée;
Pour moi,que nul ami,que nulle voix aimée
N'ait des paroles de douleur.
Que je sois seul avec mes peines,
Et laissez au désert blanchir mes ossements,
De peur que sur ma tombe,hélas! les vrais amants
Ne versent trop de larmes vaines.

飛び行け わが魂よ 飛び行け!私は死ぬのだ この矢のもとで
乙女たちの残酷さの矢の
来たれ おお死よ!われを横たえよ ろうそくの光のもとに
黒い糸杉の棺の中
私を埋めてくれ 彼女から遠く離れたところに
イチイの枝で飾られた青白い経帷子をつけて
わが運命を共にする 死した後も信頼できる友こそが
少なくとも私に誠実であるのだろう

一輪の花も 哀れな花さえも
わが墓の上には撒かれてはならぬ
わがために ひとりの友とて ひとつの愛しい声とて
苦痛の声をかけてはならなかったのだ
私はひとり わが苦痛と共にある
わが骨は砂漠で白く朽ちるがよい
わが墓に ああ!真の恋する者たちが
あまりに多くの空しき涙を流さぬように

ショーソンの作品28「3つのシェークスピアの歌」は再び友人ブショールの手になる詩につけたものです。シェイクスピアの歌とありますが、かなりフランス語にしたときに脚色されていて、ほとんど別の詩になっていると言っても言い過ぎではないほど雰囲気が変わってしまっています。タイトルも独自のものを使っておりますので、これがどの戯曲のどの歌なのかというのは、解説などに頼りませんと全く分からないのではないでしょうか。
第1曲目は、イギリスの作曲家のほとんどが曲をつけているのではないかと思われるほどポピュラーな「十二夜」の「来たれ 来たれ 死よ」。原詩とその訳はフィンジの曲のところで取り上げておりますので比べてみて頂ければと思います。
   来るがいい 来るがいい 死よ (ジェラルド・フィンジ)
音楽は、この詩につけるとどこの国のどんな作曲家が曲をつけても同じような雰囲気になるという鉄則にこの曲もはまっているような感じです。ただショーソンの憂愁が特にピアノ伴奏に強く現れて、実に味わい深いものとなりました。

( 2012.09.22 藤井宏行 )


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