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たまの機嫌と    
  日本の笛
 
    

詩: 北原白秋 (Kitahara Hakusyuu,1885-1942) 日本
    日本の笛 (1922)  たまの機嫌と

曲: 平井康三郎 (Hirai Kozaburo,1910-2002) 日本   歌詞言語: 日本語


たまの機嫌と
朝立つ虹は
時化やせぬかと
気にかかる



最初にこの歌曲集「日本の笛」を取り上げたのが作曲者の訃報を聞いた2002年の12月の第5曲「あの子この子」、それから10年がかりでようやくこの歌曲集全21曲を取り上げることができました。別に外国語から訳すわけでもありませんのでやってしまえばすぐにでもできたのですが、色々と曲の背景など調べていますとつい時間がかかり過ぎてしまいました。
さて第6曲、濃密な民謡風の第1曲「祭もどり」と同じように、日本情緒にあふれた印象的な曲です。舞台も同じ八丈島で、色恋の機微をさりげなく表しています。めったに機嫌の良いときのない恋人が珍しく上機嫌なときは、朝虹が立って美しい景色が見られるときは後で海が良く荒れるように、恋人もあとで突然怒り出したりしないだろうかと心配になる、といったところでしょうか。小粋なメロディは作曲者も愛着がるようで、自らこの歌を歌った録音では、歌ったあと聴衆に「ね、粋でしょ」と声をかけています。演歌歌手のような人に歌って頂くと非常に味わい深いものになるのではないでしょうか。

( 2012.09.03 藤井宏行 )


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