TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Abendstimmung    
  Seven Songs from the Norwegian
たそがれの響き  
     7つのノルウェーの歌

詩: ホルスタイン (Franz Friedrich von Holstein,1826-1878) ドイツ
      Prinsessen 原詩: Bjørnstjerne Bjørnson ビョルンソン

曲: ディーリアス (Frederick Theodore Albert Delius,1862-1934) イギリス   歌詞言語: ドイツ語


Es saß die Prinzessin im Frauengemach.
Der Knabe im Tale,er blies die Schalmei.
Schweig stille,o Kleiner,du fesselst mir,ach!
all meine Gedanken,die schweiften so frei,
wenn die Sonne sank,wenn die Sonne sank.

Es saß die Prinzessin im Frauengemach.
Es schweiget der Knabe,es schweigt die Schalmei.
Blas' weiter,o Kleiner,erfülle mir,ach!
all meine Gedanken,einst schweiften sie frei,
wenn die Sonne sank,wenn die Sonne sank.

Es saß die Prinzessin im Frauengemach;
aufs neue im Tale ertönt die Schalmei.
Da weint sie hinaus in den sinkenden Tag:
Wie weh mir im Herzen,steh,Herrgot,mir bei!
Und die Sonne sank,und die Sonne sank.

王女が座っている 女部屋の中
谷間では少年が シャルマイを吹いている
「静かにおし ちび お前は私をかき乱すのよ ああ!
 私のすべての思い それは自由に漂う
 太陽が沈む時には 太陽が沈む時には」

王女が座っている 女部屋の中
少年は静かになる シャルマイは静かになる
「もう一度吹くのよ ちび 私を満たして ああ!
 私のすべての思い それは自由に漂っていたのよ
 太陽が沈む時には 太陽が沈む時には」

王女が座っている 女部屋の中
また再び谷間では シャルマイの音が響く
すると彼女は泣くのだ 沈み行く太陽の下で
「なぜこんなに心が悲しいの、神様 私のそばに!
 もう太陽が沈んでしまった、もう太陽が沈んでしまった!」


ディーリアスの音楽は北欧との親和性が高いのでしょうか。グリーグやシンディングなどの作曲家とも親しく交際し、ノルウェー旅行なども通じてかの地には特に親近感が高かったのだといいます。そんな彼はビョルンソンやイブセンといったノルウェーの詩人たちの詩につけた「7つのノルウェーの歌」、「5つのノルウェーの歌」という歌曲集を書き残しています。取り上げた詩はかなりグリーグが歌曲にしたものと被り、また曲想もグリーグの歌曲の影響を受けている感は否めないのですが、ディーリアス独特の音楽の浮遊感やイギリス民謡風の(ノルウェー情緒とは別の感じがする)素朴さも醸し出してなかなか興味深い音楽ではあります。なお、いずれの歌も英語で歌われることが多いですが、この歌曲集としてはドイツ語の歌詞がオリジナルなようなのと、著作権上の問題からドイツ語の詩より訳すこととしました。ごくまれに曲によってはオリジナルのノルウェー語で歌われることもあるようですが、曲によっては原詩と訳詞が大幅に異なっておりますので原詩をメロディにはめるのは無理なようです。

第1曲目(オーケストラ伴奏版 ピアノ伴奏版では第3曲目のようです)は作曲者自身の管弦楽曲編曲。グリーグの歌曲「王女」と同じビョルンソンの詩です。曲の英語のタイトルはTwilight Fancies(たそがれの幻影)。英語の詩もドイツ語訳より訳したようで内容はほぼ同じです。グリーグの哀調を帯びた静かな曲に比べるとこちらはもっと濃密にロマンティック。まさにタイトル「たそがれの幻影」にふさわしい幻想味あふれる美しい曲になりました。
ビョルンソンの原詩では少年が吹いているのは角笛のようですが、ここではオーボエに似た楽器シャルマイ、日本ではチャルメラと呼ばれ、屋台のラーメン屋のイメージの強い楽器です。その哀調を帯びた音色はなかなかこの情景には合っていそうですが、ちとラーメン屋のイメージに引きずられそうなのでここではシャルマイとさせて頂きました。これに限らず原詩とこのドイツ語訳、かなり違いがあります。グリーグの項にある原詩と見比べてください。

王女 (エドワルド・グリーグ)

( 2012.08.16 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ