Röselein,Röselein Op.89-6 Sechs Gesänge von Wielfried von der Neun |
バラよ バラよ フォン・デア・ノインの6つの詩 |
Röselein,Röselein, Müssen denn Dornen sein? Schlief am schatt'gen Bächelein Einst zu süssem Träumen ein, Sah in goldner Sonne-Schein Dornenlos ein Röselein, Pflückt' es auch und küsst' es fein, “Dornloses Röselein!” Ich erwacht' und schaute drein: “Hatt' ich's doch! wo mag es sein?” Rings im weiten Sonnenschein Standen nur Dornröselein! Und das Bächlein lachte mein: “Lass du nur dein Träumen sein! Merk' dir's fein,merk' dir's fein, Dornröslein müssen sein!” |
バラよ バラよ トゲがなくちゃいけないの? 日陰の小川のほとりで眠って この前すてきな夢を見たのよ 金色のお日さまの光の中で見たの トゲのないバラの花を それを摘んでそっとキスしたわ 「トゲのないバラさん!」 目が覚めて あたりを見回すと 「摘んだはずなのに! あのバラはどこかしら?」 あたりのお日さまの光の中 トゲのあるバラばかりが咲いていたの! すると小川があたしに笑いかけた 「それは夢の中のことだけにしておきなさい しっかり覚えてお置き しっかり覚えてお置き トゲのあるバラしかないってことを!」 |
愛らしいメルヘンティックな詩はこの歌曲集の中でも異彩を放っています。冒頭のバラへの呼び掛けのあとおずおずと現れてくるピアノ伴奏のシューマネスクな色どりに乗せて、声は訥々と素朴な感じでピアノと掛け合い、なかなかに魅力的な歌です。あまり聴かれることの多くないこの歌曲集においても、この曲だけはしばしば取り上げられます。
( 2012.06.16 藤井宏行 )