Heimliches Verschwinden Op.89-2 Sechs Gesänge von Wielfried von der Neun |
ひそやかなお別れ フォン・デア・ノインの6つの詩 |
Nachts zu unbekannter Stunde Flieht der liebe Lenz die Flur, Küßt,was blüht,still in der Runde Und verschwindet sonder Spur. Rings von seinen Küssen prangen Früh die Blumen hold verschämt, Daß an ihrem Mund zu hangen, Schmetterling sich nicht bezähmt. Doch die Leute draußen sagen, Daß der Lenz vorüber sei; Und an wetterheißen Tagen Kennt man Sommers Tyrannei. Und wir denken dran beklommen, Daß der Lenz so heimlich floh; Daß er Abschied nicht genommen, Ach! das läßt uns nimmer froh. Also schmerzt es,geht das erste Lieb ohn' Abschied von uns fort. Ruhig trügen wir das Schwerste, Spräch' sie aus das Scheidewort. |
夜 人知れぬ時間に 愛しい春は野原を去る あたりの咲き誇るものたちにくちづけし 跡形もなく消え去るのだ そのくちづけにほのかに染まり 早朝 花たちは恥ずかしげだ その口に自分も触れようと 蝶々たちが遠慮なく寄ってくる だが人々は表で言う 春は終わってしまったと そして昼間の熱い日差しは 夏の激しさを教えてくれる ぼくらは悲しくてたまらない 春がこっそりと去ってしまったことが お別れを受けてくれなかったことが ああ!そのことがぼくらを陽気にさせてくれないんだ! そんな風に辛いんだ 初めての 恋が 別れも告げずにぼくらから去ったなら ひそやかに ぼくらはどんな辛いことにも耐えられるだろうに 恋人が別れの一言を言ってくれさえすれば |
過ぎ行く春へのお別れの歌。とてもロマンティックで流麗な音楽です。詩はちょっと最後のところが無理矢理感はありますが。シューマンらしい雰囲気は良く出ている曲でメロディもそれなりに美しいのですけれども、あまり聴く人の耳をそばだてるような強烈な個性には欠けるところがこの曲がほとんど取り上げられない理由でしょうか。
( 2012.06.16 藤井宏行 )