Stille Tränen Op.35-10 Zwölf Gedichte von Justinus Kerner |
静かな涙 ケルナーの詩による12の歌曲 |
Du bist vom Schlaf erstanden Und wandelst durch die Au. Da liegt ob allen Landen Der Himmel wunderblau. So lang du ohne Sorgen Geschlummert schmerzenlos, Der Himmel bis zum Morgen Viel Tränen niedergoß. In stillen Nächten weinet Oft mancher aus dem Schmerz, Und morgens dann ihr meinet, Stets fröhlich sei sein Herz. |
君は眠りから目覚め 緑の沃野をそぞろ歩く あたり一帯の地の上には 素晴らしい青空が広がっている 君がゆっくりと不安もなく 苦しみもなしにまどろんでいた間 空は朝までずっと たくさんの涙を降らせたのだ 静かな夜に泣くことで 人はしばしば辛さをまぎらわせる そして朝が来ると思いこむ いつも心は朗らかだと |
例によって白井さんの公演曲目の予習に、これまであまり馴染みの無かったケルナー歌曲集を聴き始めました。11.12.曲を既に訳されている稲傘さんがお書きになられていることも良く知らず、お恥ずかしい限りです。ちゃんと聴いてみるとやはり素晴らしい作品集でした。この作品は曲集中でもわかりやすい印象的な旋律を持ったものです。最初は自然抒情詩と思って訳していたのですが、やはりこれは片思いの恋の隠喩なのでしょうか・・・。
何故か音盤はいつのまにかたくさん持っています。全曲だけでも、フィッシャー=ディースカウ、プライ2種、ベーア、シュトゥッツマン、クプファー、スゼー、シュライヤーなどが手元にあり、選集ではファン・ダム、白井さん。期待の若手ヨッヘン・クプファーがなかなか素敵です。伴奏はオリジナル楽器です。稲傘さんお勧めのハンプソンも聴いてみたいです。
( 2003.10.17 甲斐貴也 )