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L'infidèle    
 
不実  
    

詩: メーテルランク (Maurice Polydore Marie Bernard Maeterlinck,1862-1949) ベルギー
    Quinze Chansons 2 Et s'il revenait un jour

曲: セヴラック (Marie-Joseph-Alexandre Déodat de Séverac,1883-1921) フランス   歌詞言語: フランス語


Et s'il revenait un jour,
Que faut-il lui dire?
- Dites-lui qu'on l'attendit
Jusqu'à s'en mourir...

Et s'il m'interroge encore
Sans me reconnaître?
- Parlez-lui comme une sœur.
Il souffre peut-être...

Et s'il demande où vous êtes
Que faut-il répondre?
- Donnez-lui mon anneau d'or,
Sans rien lui répondre...

Et s'il veut savoir pourquoi
La salle est déserte?
- Montrez-lui la lampe éteinte
Et la porte ouverte...

Et s'il m'interroge alors
Sur la dernière heure?
- Dites-lui que j'ai souri
De peur qu'il ne pleure...

それでもしあの人がある日帰ってきたら
なんて言ったらいいかしら?
-彼に言えばいい 待っていたんだと
死んでしまいそうなほどにと...

それでもなおしつこく聞いてきたら
私だと気がつくこともなく?
-彼に話しかけるんだ 妹のように
彼はおそらく苦しんでいるんだよ...

そしてもしも彼が尋ねたら あなたはどこかと
なんて答えたらいいかしら?
-彼に金の指輪をあげなさい
何も答えずに...

だけどもしも彼が知りたがったなら なぜ
この部屋が空っぽなのかを?
-彼に見せればいい ランプが消えているのを
そしてドアが開いているのを...

それからもし彼が聞いてきたらどうしましょう
最期のときのことを?
-彼に言うがいい 私はほほ笑んでいたと
彼が泣いたりしないようにと...


メーテルランクの二つある詩集のうちでより幻想味の強い「15のシャンソン」の第2番目の詩で、タイトルは作曲者がつけたもののようで原詩にはありません。詩の内容的には「不実」というのはちょっと当たらないようにも思えるのですが、セブラック自身がどう感じ取ったのかを考える上では興味深い命名です。
この詩集、歌になりそうで意外と作曲家に取り上げられていないのが不思議です。集中的に取り上げているのはドイツ語訳への付曲ですが6編を取り上げたツェムリンスキーくらい。

( 2012.04.14 藤井宏行 )


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