I was not sorrowful,I could not weep Songs of Sunset |
ぼくは悲しくはなかったし、泣くほどのこともなかった 日没の歌 |
I was not sorrowful,I could not weep And all my memories were put to sleep. I watched the river grow more white and strange, All day till evening,I watched it change. All day till evening I watched the rain Beat wearily upon the window pane. I was not sorrowful but only tired Of everything that ever I desired. Her lips,her eyes,all day became to me The shadow of a shadow utterly. All day mine hunger for her heart became Oblivion,until the evening came And left me sorrowful inclined to weep With all my memories that could not sleep. |
ぼくは悲しくはなかったし、泣くほどのこともなかった ぼくのすべての記憶が眠りにつこうとしていた ぼくは見つめていた 川がしだいに白く不思議に変わっていくのを 昼間から夜までずっと、ぼくはその変化を見つめていた 昼間から夜までずっと、ぼくは見つめていた 雨が 物憂く窓ガラスを叩いているのを ぼくは悲しかったのではない、ただうんざりしていただけだ かつてぼくが望んでいたすべてのことに 彼女のくちびる、彼女の瞳、昼の間じゅうはぼくには ひとつの影のまた影にと完全になってしまった 昼の間じゅう彼女の心を求める渇望も 忘却となった、夕暮れが来たときまで そしてぼくを悲しみで泣きたい思いにしたのだ 眠ることのできぬたくさんの思い出とともに |
第7曲はバリトンのソロ。憂愁に満ちた実に重たい詩のタイトルは「Spleen」。ヴェルレーヌが好んで付けた憂愁の題名です。
すべてをふっ切ったような言葉遣いとは裏腹に、とにかくやるせない音楽が流れてきます。歌が終わったあとの長い後奏はディーリアスのオーケストレーションの真骨頂でしょう。切れ目なく最終の合唱へと続いて行きます。
( 2012.03.20 藤井宏行 )