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I was not sorrowful,I could not weep    
  Songs of Sunset
ぼくは悲しくはなかったし、泣くほどのこともなかった  
     日没の歌

詩: ダウスン (Ernest Dowson,1867-1900) イングランド
    Verses  Spleen

曲: ディーリアス (Frederick Theodore Albert Delius,1862-1934) イギリス   歌詞言語: 英語


I was not sorrowful,I could not weep
And all my memories were put to sleep.

I watched the river grow more white and strange,
All day till evening,I watched it change.

All day till evening I watched the rain
Beat wearily upon the window pane.

I was not sorrowful but only tired
Of everything that ever I desired.

Her lips,her eyes,all day became to me
The shadow of a shadow utterly.

All day mine hunger for her heart became
Oblivion,until the evening came

And left me sorrowful inclined to weep
With all my memories that could not sleep.

ぼくは悲しくはなかったし、泣くほどのこともなかった
ぼくのすべての記憶が眠りにつこうとしていた

ぼくは見つめていた 川がしだいに白く不思議に変わっていくのを
昼間から夜までずっと、ぼくはその変化を見つめていた

昼間から夜までずっと、ぼくは見つめていた 雨が
物憂く窓ガラスを叩いているのを

ぼくは悲しかったのではない、ただうんざりしていただけだ
かつてぼくが望んでいたすべてのことに

彼女のくちびる、彼女の瞳、昼の間じゅうはぼくには
ひとつの影のまた影にと完全になってしまった

昼の間じゅう彼女の心を求める渇望も
忘却となった、夕暮れが来たときまで

そしてぼくを悲しみで泣きたい思いにしたのだ
眠ることのできぬたくさんの思い出とともに



第7曲はバリトンのソロ。憂愁に満ちた実に重たい詩のタイトルは「Spleen」。ヴェルレーヌが好んで付けた憂愁の題名です。
すべてをふっ切ったような言葉遣いとは裏腹に、とにかくやるせない音楽が流れてきます。歌が終わったあとの長い後奏はディーリアスのオーケストレーションの真骨頂でしょう。切れ目なく最終の合唱へと続いて行きます。

( 2012.03.20 藤井宏行 )


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