By the sad waters of separation Songs of Sunset |
この悲しき別れの水のほとり 日没の歌 |
By the sad waters of separation Where we have wandered by divers ways, I have but the shadow and imitation Of the old memorial days. In music I have no consolation, No roses are pale enough for me; The sound of the waters of separation Surpasseth roses and melody. By the sad waters of separation Dimly I hear from an hidden place The sigh of mine ancient adoration: Hardly can I remember your face. If you be dead,no proclamation Sprang to me over the waste,gray sea: Living,the waters of separation Sever for ever your soul from me. No man knoweth our desolation; Memory pales of the old delight; While the sad waters of separation Bear us on to the ultimate night. |
この悲しき別れの水のほとり ぼくたちがあちこちとそぞろ歩いてきたところ ぼくにはもう影と模造品しかない 古い思い出の日々の 音楽の中にも ぼくの慰めはない バラもぼくにはすっかり色あせた 別れの水の響きが バラや音楽を打ち消してしまうのだ この悲しき別れの水のほとり ほのかに聞こえる 秘められた場所から ぼくの昔のあこがれの溜息が ほとんどきみの顔も思い出せないというのに もし君が死んでいても、その知らせは ぼくには届かない この荒々しい灰色の海を越えては 生きていても、この別れの水は 永遠に君の魂をぼくから分け隔つ だれもぼくたちの孤独を知らない 思い出も色あせた 昔の喜びの この悲しき別れの水が ぼくたちを永遠の夜へと連れ去る間にも |
女声のソロに続き、バリトンのソロによる歌が入ります。こちらもしみじみと美しく諦めの境地を歌います。ダウソンの詩のタイトルはExile(亡命者)、海の彼方へと亡命してしまった相手のことを思っているのでしょうか(本人は昔なつかしい海岸をそぞろ歩いているようなので残された方の立場なのでしょう。あるいはその海岸自体が幻想で、主人公自身が亡命者なのかも知れませんが)
( 2012.03.11 藤井宏行 )