TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Cease smiling,Dear    
  Songs of Sunset
やめておくれ ほほ笑むのは  
     日没の歌

詩: ダウスン (Ernest Dowson,1867-1900) イングランド
    Verses  Cease smiling,Dear

曲: ディーリアス (Frederick Theodore Albert Delius,1862-1934) イギリス   歌詞言語: 英語


Cease smiling,Dear! a little while be sad,
Here in the silence,under the wan moon.
Sweet are thine eyes,but how can I be glad,
Knowing they change so soon?

O could this moment be perpetuate!
Must we grow old,and leaden-eyed and gray
And taste no more the wild and passionate
Love sorrows of to-day?

O red pomegranate of thy perfect mouth!
My lips' life-fruitage might I taste and die,
Here to thy garden,where the scented south
Wind chastens agony;

Reap death from thy live lips in one long kiss,
And look my last into thine eyes and rest:
What sweets had life to me sweeter than this
Swift dying on thy breast?

Or,if that may not be,for Love's sake,Dear!
Keep silence still,and dream that we shall lie.
Red mouth to mouth,entwined,and always hear
The south wind's melody,

Here in thy garden,through the sighing boughs,
Beyond the reach of time and chance and change,
And bitter life and death,and broken vows,
That sadden and estrange.

やめておくれ ほほ笑むのは、愛しい人よ!ほんのしばらく悲しんでいよう
この静けさの中、欠けた月の下で
素敵だ 君の瞳は、だがどうしてぼくは喜んでいられようか
それがすぐに変わってしまうことを知っているのに?

おお この一瞬を永遠のものにできたなら!
ぼくたちは老いて、瞼は重く髪は白くならねばならないのか
そしてもはや味わえなくなるのか この激しくも情熱的な
今日の愛の悲しみを?

おお赤いザクロよ 君の完璧なそのくちびる
ぼくのくちびるにとっての命の果実をぼくは味わい そして死ぬのだろう
このきみの庭の中では 香り立つ南の
風が苦悩をやわらげる

死を刈り取るのだ 君の命のくちびるから 一度の長いくちづけで
そしてぼくの最後の眼差しを君の瞳の中に注ぎそして憩うのだ:
これ以上 どんな素晴らしいことがぼくの人生にあるだろう
君の胸の上ですぐに死ぬことよりも

あるいは、もしそれが許されないのなら、愛のために、愛しい人よ!
静かに黙って夢を見よう ぼくらは身を横たえ
赤い口と口を合わせ、交わりあい、そしてずっと聴き入るのだ
南の風のメロディを

この君の庭の中、溜息をつく枝を抜けて
時と機会と変化が届くところを超えて
そして苦い生と死を、破られた誓いを超えていくそのメロディは
悲しみと疎外感を与えるのだ


2曲目はバリトンとメゾソプラノのソロ、前半はバリトンが先に歌い、それをメゾソプラノが追いかける輪唱のような展開ですが、途中のくちづけのところからメゾソプラノが追いついて重唱となります。しんみりしたトーンは相変わらずですが、このザクロのくちづけのシーンは管弦楽伴奏も含め美しく盛り上がります。
ダウソンの詩はタイトルは付けられていないようです。美しい逢引きの情景ですが、彼らしく憂愁に満ち溢れています。
一番最後のThatが何を指すのか読み取れなかったのですが(前のvowsを指している可能性もありますが、それだとこの節全体の主語がなくなるので)、前の節の最後のメロディを受けるものと考えて訳しました。

( 2012.02.11 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ