Pesn’ startsa |
老人の歌 |
Stanu skromno u poroga, V dveri tikho ja vojdu Pust’ dadut mne radi Boga, Snova dalee pojdu. Schastliv,kto pered soboju Uzrit bednogo menja On poplachet nado mnoju, A o chem,ne znaju ja. |
私は敷居のところにつつましく立とう 戸口に静かに向かおう 私に神の施しが与えられるだろう 再び それから歩き出そう 幸せなのだ その人の前に立つときに 私が哀れに見える人は その人は私を見て泣くだろう だがそれは 私には分からないことなのだ |
ゲーテの「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」より、老竪琴弾きの歌です。ドイツ語の原詩にはシューベルトやシューマン、ヴォルフなどの作曲したものもありますが、ムソルグスキーもこの詩を選んで作曲していたというのは興味深いことです。虐げられた人々に暖かい眼差しを向けたムソルグスキーですので、この心が壊れて放浪する老人の言葉に大変惹きつけられたということもあるのでしょう。
訳詞はできるだけ、ロシア語の詩より行いましたが、良く分からなかったところはドイツ語の原詩を参照したところもあります。
( 2011.12.30 藤井宏行 )