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Uns bieibt ein Erdenrest    
  Symphony no. 8 Part.2
われらに残された大地の残骸は  
     交響曲第8番第2部

詩: ゲーテ (Johann Wolfgang von Goethe,1749-1832) ドイツ
    Faust Teil 2(ファウスト 第2部 1833) ACT5_7 Bergschluchten Uns bieibt ein Erdenrest

曲: マーラー,グスタフ (Gustav Mahler,1860-1911) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


DIE VOLLENDETEREN ENGEL

  Uns bieibt ein Erdenrest
  Uns,Zu tragen peinlich,
  Und wär' er,wär' er von Asbest
  Er ist nicht reinlich.
  Wenn starke Geisteskraft
  Die Elemente
  An sich herangerafft,
  Kein Engel trennte

(Alto Solo)
Kein Engel trennte
Geeinte Zwienatur,
Der innigen beiden;

(Chor)
  Die ewige Liebe nur
  Vermag's zu scheiden.
(Alto)
Die ewige Liebe nur
Vermag's zu scheiden.



DIE JÜNGEREN ENGEL

 Ich spür' soeben,
 Nebelnd um Felsenhöh',
 Ein Geisterleben.
 Regend sich in der Näh'
 Seliger Knaben,
 Seh' ich bewegte Schar
 Los von der Erde Druck,
 Im Kreis gesellt,
 Die sich erlaben
 Die sich erlaben
 Am neuen Lenz und Schmuck
 Der obern Welt.


DOCTOR MARIANUS
(in der höchsten,reinlichsten Zelle)


Hier ist die Aussicht frei,
 (Chor)
 Sei er zum Anbeginn,
 Steigendem Vollgewinn

Der Geist erhoben.
 (Chor)
 Diesen diesen diesen gesellt!


CHOR SELIGER KNABEN
  Freudig empfangen wir
  Diesen im Puppenstand;
(Ten Solo)
Dort ziehen Frauen vorbei,

(KNABEN)
  Also erlangen wir
  Englisches Unterpfand.
(Ten Solo)
Schwebend nach oben,

(KNABEN)
  Löset die Flocken los,
  Die ihn umgeben!
(Ten Solo)
Die Herrliche mitterin

(KNABEN)
  Schon ist er schön und groß
(Ten Solo)
Im Sternenkranze,

(KNABEN)
  Von heiligem Leben.
(Ten Solo)
Die Himmelskönignen,
Ich seh's am Glanze,
Höchste Herrscherin der Welt!
Lasse mich im blauen,
Ausgespannten Himmelszelt
Dein Geheimnis schauen!
Bill'ge,was des Mannes Brust
Ernst und zart beweget
Und mit heil'ger Liebeslust
Dir entgegen träget!
Unbezwinglich unser Mut,
Wenn du hehr gebietest;

Plötzlich mildert sich die Glut,
Wenn du uns befriedest.

Jungfrau,rein im schönsten Sinne,

  (Chor)
  Jungfrau,rein im schönsten Sinne
Mutter,
  Mutter,
Ehren würdig,
  Ehren würdig,
Uns erwählte Königin,
  Uns erwählte Königin,
Göttern ebenbürtig.

成熟した天使たち

  われらに残された大地の残骸は
  われらには運ぶのに骨が折れる
  たとえそれが石綿でできていようと
  それは清浄なものではないのだから
  強い精神力が
  諸元素を
  寄せ集めるのであれば
  いかなる天使にも分けることはできぬ

(アルトソロ)
いかなる天使にも分けることはできぬ
結び付けられたそのふたつの本性を
このしっかりと繋がり合ったふたつのものは

(合唱)
  ただ永遠の愛のみが、
  それを解き放つことができる
(アルトソロ)
ただ永遠の愛のみが、
それを解き放つことができる



未熟な天使たち

 私は今感じる
 霧のごとくに高い岩のまわりにかかる
 ひとつの精神の命が
 近くでうごめくのを
 聖なる童子たちが
 私には見える 集まって動いているのが
 地上の重荷から解き放たれて
 輪の中に集まり
 英気を養っている
 英気を養っている
 新しい春に包まれ、身にまとうのだ
 天界の衣装を


マリア崇拝の博士
(最も高く、最も清らかな岩窟の中で)


ここは見晴らしがよく
(合唱)
 彼もまずはすべきであろう
 次第に完全となっていくことを

精神が高められる
 (合唱)
 彼らに 彼らに混じって


祝福された少年たちの合唱
  よろこんで、わたしたちはお迎えしましょう
  蛹の中のこの方を
(テノールソロ)
あそこを女性たちが通ってゆく

(少年たち)
  そうすれば、わたしたちも得られるのです
  天使になる資格を
(テノールソロ)
上方へと漂ってゆくのだ

(少年たち)
  繭を剥ぎ取りましょう
  このお方のまわりにある繭を
(テノールソロ)
その真ん中には崇高な御姿

(少年たち)
  もうすでにこのお方は美しく成長したのですから
(テノールソロ)
星の宝石を身に着けた

(少年たち)
  聖なる生命を得て
(テノールソロ)
あれこそ天の女王
光輝くのでそれがわかる。
崇高なる世界の支配者よ!
中に私をお入れください、この青く
広げられた天空の幕の中に
御身の神秘をお示しください
お認めください、この男の胸を
真摯に、やさしく動かすものを
そして神聖な愛の歓喜をもって
御身のもとに導かれし者を!
無敵なのです われらが勇気は
御身が崇高な命令をなさるときには

炎もすぐに和らぐでしょう
御身がわれらを満たしてくださるときには

聖処女様、この上なく美しい心の清らかな

  (合唱)
  聖処女様、この上なく美しい心の清らかな
聖母様
  聖母様
こよなき栄誉あるお方よ
  こよなき栄誉あるお方よ
われらがために選ばれし女王
  われらがために選ばれし女王
神々に等しき御方


ここまでの賑やかな歌声が一転して、少し重苦しい雰囲気になります。背景に流れるブラスのメロディは第1部で「Infirma nostri corporis(か弱きわれらの肉体に)」と歌われている部分のメロディ、まさに地上に長いこといたファウストの魂は肉体と分かちがたく結びつき、そしてここにある「ふたつの本性」とは人間すべてが持つ善悪ふたつの心、これを分けることができるのは愛だけだ、とアルトのソロがしっとりと歌います。
のちに出てくるグレートヒェンの生まれ変わりの贖罪の女の登場の必然性をここで述べているわけですね。

再び未熟な天使と少年たちとが賑やかなお祭り騒ぎを始めますが、そこに絡んでくるのがマリア崇拝の博士(テノール)、聖母のことならなんでも知っている博識の博士です。テノールというところが、そして博士というところが何だかファウストと二重写しになってしまいますが、私の解釈ではこの人はこれから行われるファウストの救済を司る司祭のような立場にある人ではないかと思われました。Höchste Herrscherin der Welt!と歌い出す直前、ゲーテの原作ではEntzückt(感動して)というト書きがあります。
彼が仰ぎ見る聖母様の登場は、長いテナーのソロが終わり、合唱との掛け合いで聖母様への呼び掛けが終わった後、管弦楽の間奏に入り、ハープのアルペジオが流れた後。弦のたいへん美しいメロディが始まる部分に楽譜の中にも「Mater Gloriosa schwebt einher(栄光の聖母 漂いながら登場)」と書かれています。
もっともゲーテの原作ではこのト書きはもう少しあと、贖罪の女たちの合唱が始まる直前です。

( 2011.12.30 藤井宏行 )


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