TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Verkündigung über den Hirten   Op.27-6  
  Marienleben
羊飼いたちへのお告げ  
     マリアの生涯

詩: リルケ (Rainer Maria Rilke,1875-1926) オーストリア
    Das Marien-Leben 6 Verkündigung über den Hirten

曲: ヒンデミット (Paul Hindemith,1895-1963) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Seht auf,ihr Männer. Männer dort am Feuer,
die ihr den grenzenlosen Himmel kennt,
Sterndeuter,hierher! Seht,ich bin ein neuer
steigender Stern. Mein ganzes Wesen brennt
und strahlt so stark und ist so ungeheuer
voll Licht,daß mir das tiefe Firmament
nicht mehr genügt. Laßt meinen Glanz hinein
in euer Dasein: Oh,die dunklen Blicke,
die dunklen Herzen,nächtige Geschicke
die euch erfüllen. Hirten,wie allein
bin ich in euch. Auf einmal wird mir Raum.
Stauntet ihr nicht: der große Brotfruchtbaum
warf einen Schatten. Ja,das kam von mir.
Ihr Unerschrockenen,o wüßtet ihr,
wie jetzt auf eurem schauenden Gesichte
die Zukunft scheint. In diesem starken Lichte
wird viel geschehen. Euch vertrau ichs,denn
ihr seid verschwiegen; euch Gradgläubigen
redet hier alles. Glut und Regen spricht,
der Vögel Zug,der Wind und was ihr seid,
keins überwiegt und wächst zur Eitelkeit
sich mästend an. Ihr haltet nicht
die Dinge auf im Zwischenraum der Brust
um sie zu quälen. So wie seine Lust
durch einen Engel strömt,so treibt durch euch
das Irdische. Und wenn ein Dorngesträuch
aufflammte plötzlich,dürfte noch aus ihm
der Ewige euch rufen,Cherubim,
wenn sie geruhten neben eurer Herde
einherzuschreiten,wunderten euch nicht:
ihr stürztet euch auf euer Angesicht,
betetet an und nenntet dies die Erde.

Doch dieses war. Nun soll ein Neues sein,
von dem der Erdkreis ringender sich weitet.
Was ist ein Dörnicht uns: Gott fühlt sich ein
in einer Jungfrau Schooß. Ich bin der Schein
von ihrer Innigkeit,der euch geleitet.

見よ、汝ら男ども、そこの火のそばにいる者どもよ
お前たち 果てしなき天を知る者たちよ
占星術師よここに! 見よ、われは新しき
昇り行く星なり わが全存在を燃やし
激しく輝きつつ 信じ難きほどに
光にあふれるがゆえ、われはこの深い空のみでは
もはや十分ではないのだ わが輝きを差し込ませよ
汝らの人生の中に、おお その暗き瞳
その暗き心 夜の運命が
汝らを満たす中へと;羊飼いたちよ 何と唯一なるか
われは汝らの中にありて、突如としてわが空間は開けるのだ
汝らは驚かぬか かの巨大なパンの実の木が
影を投げかけたのを そうだ、それはわれより来しものだ
汝ら恐れを知らぬ者ども おお知っておろう
汝らの見上げている顔の上に
未来が輝くのを その力強い光の中に
多くのことが成し遂げられる 汝らをわれは信頼する なぜなら
汝らは口が堅いからである 信仰篤き者どもよ
ここでは万物が語る  炎が 雨が語り
渡り鳥が 風が そして汝ら一切が語るのだ
何者も突出することなく 無意味に成長し
肥え太ることはない 汝らは留め置くであろう
それらのことを胸のうちに
それらを苦しめぬようにと  かくして歓喜が
ひとりの天使の中を巡るように 汝らの中を駆け巡るのだ
地上の喜びが そして茨の茂みが
突如として燃え上がって その中より
永遠なる神が汝らを呼び 大天使ケルビムが
汝らの家畜の脇を
堂々と歩もうとも 汝らは驚きもせず
ただ汝らの顔を伏せて
祈り そしてこれを大地と名付けるのだ

だがそれは過ぎ去ったこと 今や新しきことが起こるのだ
大地が苦闘しつつ大きくなるために
われらの茨となるであろうもの:神が宿られるのだ
ひとりの処女の胎内に われは輝きである
その乙女の中にあって 汝らを導くものなり


リルケの詩集「マリアの生涯」の中でも2番目の詩と並んで日本語に訳すには難関なのがこの詩です。まだとても満足いく出来ではないのですが思い切って2011年のクリスマスにアップすることにしました。
ここで羊飼いたちに語りかけている「新しく昇りゆく星」というのはイエス・キリストの誕生を告げる者です。初めはそのキリスト自身かと思ったのですが、最後に「それは過去のこと。これからキリストは生まれてくるのだ」とありますのでそれは違うようです。
ヒンデミットの付けた曲はいかにも彼らしい力感にあふれたもの。ぐいぐいと押して来る迫力が魅力的です。これも1948年の改訂版の方が良く練れていて聴きごたえがあるように私には思えました。

( 2011.12.24 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ