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Il m'aimait tant!   S.271  
 
あのひとはあたしをそんなに愛してくれていたのね  
    

詩: ガイ (Delphine de Girardin,née Gay,1804-1855) フランス
      

曲: リスト (Franz Liszt,1811-1886) ハンガリー   歌詞言語: フランス語


Non,je ne l'aimais pas; mais de bonheur émue,
Ma sour,je me sentais rougir en l'écoutant;
Je fuyais son regard,je tremblais à sa vue;
    Il m'aimait tant!

Je me parais pour lui,car je savais lui plaire;
Pour lui,j'ai mis ces fleurs et ce voile flottant;
Je ne parlais qu'à lui,je craignais sa colère:
    Il m'aimait tant!

Mais un soir il me dit : “Dans la sombre vallée
Viendrez-vous avec moi?” Je le promis... Pourtant,
En vain il m'attendit; je n'y suis pas allée...
    Il m'aimait tant!

Alors il a quitté ma joyeuse demeure.
Malheureux! il a dû me maudire en partant;
Je ne le verrai plus ! je suis triste,je pleure:
    Il m'aimait tant!

いいえ あたしは愛してなんかいないわ でも幸せに感動している
あたしの妹よ、あたしはそのことを聞いて恥ずかしく思ったわ
あたしはあのひとの眼差しを避けていた あたしはあのひとの視線に震えていた
  あのひとはあたしをそんなに愛してくれていたのね!

あたしはあのひとのためにお洒落したわ 喜ばせることが分かっていたから
あのひとのために あたしは花を飾り 髪を飾ったの
あたしはあのひとに話しかけられなかった あのひとが怒るのが怖かったの
  あのひとはあたしをそんなに愛してくれていたのね!

でもある晩 あの人はあたしに言ったの「あの暗い谷間に
ぼくと一緒に行かないか?」 あたしは行くと約束した...だけど
むなしく彼は待ったことでしょう あたしは行かなかったから
  あのひとはあたしをそんなに愛してくれていたのね!

そして彼はあたしの幸せな家から出て行ってしまった
なんて不幸なこと!彼はあたしのことを呪ったでしょう 別れの時には
あたしは彼には二度と会えないでしょう!あたし悲しいわ あたしは泣く
  あのひとはあたしをそんなに愛してくれていたのね!


平凡な愛の詩ですし、リストの付けた曲もサロン音楽風のあまり彼の個性が感じられないものではあるのですが、この詩、ロシア語に訳されてチャイコフスキーの有名な歌曲になっていたというのがかなり興味深いことではありました。チャイコフスキーの方は長く原作者不詳とされていたのだそうですが、こうしてリストがその原詩に曲をつけていたなどというのは偶然にしても良くできた話ではあります。

彼はそれほどあたしを愛してたのね (ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー)

( 2011.12.06 藤井宏行 )


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