Når jeg vil dø Op.59-1 Elegiske Digte af John Paulsen |
私が死ぬときは ヨン・パウルセンの悲しい詩 |
Når løvet falder træt fra skogens kroner, henover jorden stum og kold og grå, når solen synker lavt og farver,toner dør sagte hen,da vil jeg forgå. For højt jeg elsker jordens skjønne rige, at skilles fra det i en maigrøn dag! For tungt det blev farvel i vår at sige midt i violers duft og lærkers slag. Nej,når naturene dør,så vil jeg falme med den så stilt og fromt som skog og eng! Oktoberstormen spille skal min salme og visne blade rede mig min seng. |
枯れた木の葉が森の天井より落ちるとき 大地の上は沈黙し 冷たく 灰色だ 太陽が低く沈み 彩りや 響きが 静かに褪せてゆくとき 私も死んで行きたい あまりにも深く 私はこの大地を愛したから 緑の五月にお別れすることなどできはしない! あまりに難しいのだ この春に別れを告げるなど スミレが香り ヒバリが鳴くこのただ中で いや 自然が死に行くときにこそ 私も死んで行こう 自然と一緒に とても穏やかに とても敬虔に 森や野原のように 十月の嵐は私の挽歌となり そして枯れ葉が私の死の床をしつらえるのだ |
グリーグの5曲からなる歌曲集作品59は、Elegiske Digte af John Paulsen(ヨン・パウルセンの悲しい詩)というタイトルがついていることからもお分かりのように、詩人パウルセンの詩のみを6篇選んで曲をつけています。この作品番号ひとつ前の歌曲集作品58も同じパウルセンの詩ばかり選んでおりますが、あちらの愛国的・ヒロイックな曲に対し、この作品59はタイトルにElesidke(エレジーに満ちた)とあるように憂鬱で悲しい内容の詩をもっぱら選んで曲をつけております。
グリーグの作品としては飛び抜けて有名な曲があるわけではないですけれど、晩秋に聴くのにふさわしい深みのある味わいの小品ばかりなる歌曲集(実際この中には秋をテーマとした曲も多いです)、けっこう捨てがたい良い味わいです。
第1曲目はまさにそんな晩秋をテーマにした曲のひとつです。死を決意した悲壮感のようなものを詩からは感じてしまいますが、音楽はずっと淡々としていて、何と言いますか無常感のようなものを漂わせています。しみじみと聴き惚れてしまうような、そんな曲です。
( 2011.11.04 藤井宏行 )