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Mandoline   L 29  
 
マンドリン  
    

詩: ヴェルレーヌ (Paul Verlaine,1844-1896) フランス
    Fêtes galantes 15 Mandoline

曲: ドビュッシー (Claude Achille Debussy,1862-1918) フランス   歌詞言語: フランス語


Les donneurs de sérénades
Et les belles écouteuses
Echangent des propos fades
Sous les ramures chanteuses.

C'est Tircis et c'est Aminte,
Et c'est l'éternel Clitandre,
Et c'est Damis qui pour mainte
Cruelle fiit maint vers tendre.

Leurs courtes vestes de soie,
Leurs longues robes à queues,
Leur élégance,leur joie
Et leurs molles ombres bleues,

Tourbillonent dans l'extase
D'une lune rose et grise,
Et la mandoline jase
Parmi les frissons de brise.

Les donneurs de sérénades
Et les belles écouteuses
Echangent des propos fades
Sous les ramures chanteuses.

セレナーデの捧げ手たちと
そしてその麗しき聴き手たち
とりとめない言葉を交わしている
歌いさざめく小枝の下で

あれはチルシス、あれはアマント
そして永遠のクリサンドル
そしてあれはダミスだ、彼はたくさんの
冷たい娘たちに寄せて 優しい詩を書きつける

彼らの短いシルクのコート
彼女たちの長い裾のドレス
彼らのエレガンス 彼らの喜び
そして彼らの柔らかな青い影が

恍惚の中をさまよっている
灰色がかったピンクの月の
そしてマンドリンは鳴り響く
震えるそよ風の中を

セレナーデの捧げ手たちと
そしてその麗しき聴き手たちが
とりとめない言葉を交わしている
歌いさざめく小枝の下で


フォーレのつけたお洒落なメロディの曲がたいへん有名ですが、ヴェルレーヌの詩にたいへんな創作意欲をかき立てられていた若き日のドビュッシーもこの詩に曲をつけています。こちらは半音階進行なども交え、なかなか尖鋭的な歌になっております。詩の持つ幻想的な雰囲気はこちらの方が良く出ているかも知れません。

2003年にフォーレがこの詩につけた曲を取り上げたときに訳しておりますが、今回はあらためて訳を見直してみました。

( 2011.10.29 藤井宏行 )


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